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(ショッピ視点)
泣いている彼女を慰めるのは何度目だろうか。
俺はいつもと同じ動作で彼女にハンカチを渡した。
「今度は何があったか聞いてもいいすか。」
お決まりの台詞を言えば、彼女はぽつりぽつりと話し始める。
まあ、全部知っとるんやけどな。
殺ったの俺だし。
最初はどんな感じだったっけ。
たしか告白が成功したって聞いて、すぐに半年くらい巻き戻したんだったかな。
それで、Aさんにアイツじゃなくて俺を好きになってもらえるよう何度かやり直してみた。
でも駄目だった。
何度やっても彼女は俺を見てくれなかった。
で、次は2年くらい巻き戻した。
そもそも2人が出会わないようにしようと思ったのだ。
けどこれはあまりにも難しいと分かったので、30回くらい試して諦めた。
そして俺は最後の手段として、アイツを殺す事にした。
最初は上手くできなくて、証拠を残して捕まったこともあったが巻き戻してしまえば関係ない。
そのうち手際がよくなって、捕まることはなくなった。
けれど、アイツは死んで尚彼女の心に居座り続けた。
このやり方も駄目だ。
俺は新たな方法を考案しなければならなかった。
そして、俺の中でコペルニクス的転回を経て思いついたのが今やってるコレ。
彼女に自らアイツを諦めさせる、という方法だ。
まさか自分以外の人間にループの記憶を引き継がせるなんて裏技があるなんて。
特にメリットがあるとも思わなかったので、今まで試そうとすらしなかったのだ。
予定通り彼女に告白をさせ、殺し、自ら命を絶った彼女に記憶を持たせたまま巻き戻す。
彼女に接触したのは不自然にならないよう20ループ目から。
作戦が筒抜けになったおかげで、殺しがやりやすくなった。
どうせ巻き戻すので証拠を残すのは構わないが、彼女に俺が犯人だとバレるのだけは不味い。
彼女の記憶をリセットする必要が生じ、ここまでの70ループほどが無駄になる。
「頑張りましょう、俺も付き合いますから。」
優しく声をかければ彼女はコクリと頷いた。
それでいい、何度も何度も失敗して、無力感を味わうといい。
いくらでも付き合いますよ、貴女が諦めるまで。
俺にとってこのループは少しも苦痛ではないのだから。
泣いてる貴女の一番近くにいられるし、貴女を奪おうとする憎いアイツを何度でも殺せるのだから。
俺は彼女に見えないよう含み笑いをして、コーヒーの缶を投げた。
コペルニクスの蝶。
(壊れた蝶がいくら回れど、恋の嵐は起こらない。)
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笹良柚紀(プロフ) - 碧さん» コメントありがとうございます！今後も拗らせた話を中心に書いていきますので、お付き合い頂ければ幸いです〜 (2019年11月8日 21時) (
レス) id: da544bddee (このIDを非表示/違反報告)
碧 - 初めまして、いつも楽しく読ませていただいております！ヤンデレ大好きです（真顔）。これからも頑張ってください！応援しています。 (2019年11月8日 20時) (レス) id: b98328a63d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：笹良柚紀
| 作成日時：2019年2月9日 3時
