コペルニクスの蝶。【sho】 ページ11
(夢主は他の誰かに片想いしてる、ヤンデレ、シュタゲパロと言えなくもない。)
時間を巻き戻す力があると分かった時、自分はなんでも出来ると思った。
しかし現実はそんなに甘くない。
蝶の羽ばたきで竜巻を起こすには、実の所、無限に近い試行が必要なのだ。
「これで何度目だろ。」
「さて、どうでしたかね。」
私達は並んで公園のベンチに座っていた。
力なく空を見上げる私と、コーヒーの缶を持って項垂れるショッピ君。
待ち合わせはいつもこの場所で、私がここへ来ることは、作戦の失敗を意味していた。
「今度は何があったか聞いてもいいすか。」
彼の言葉には遠慮が感じられる。
私も出来れば思い出したくはなかったけど、次の作戦を考えるためには言わねばなるまい。
「いつも通り告白は上手くいったの。でもね、その日の晩に、毒を盛られたみたいで……。」
想い人の死体を見た。
何度も何度も見た。
いくら見ても慣れることはなくて、思い出せば声が震え、涙が溢れそうになる。
「別に泣いてもいいっすよ。」
「泣かない。」
つまらない虚勢を張るのもいつもの事で、ショッピ君はそうすか、と言いながらハンカチを差し出してくれた。
受け取って目頭を抑えると、ほのかに彼の匂い、多分柔軟剤か何かの匂いがする。
「どうすればいいんだろ……。」
「やっぱり、一晩中一緒にいて見張るしかないんじゃないすか。」
「つ、付き合いたてなのにそんなの無理だよ！」
と否定して見たものの、彼の言うことが正しいような気がする。
私はじっくりと、今までの事を思い返してみた。
最初はどんな感じだったかもう覚えてすらいない。
ただ分かるのは、ある日私は一念発起し、長らく片想いをしていた相手に告白したということ。
そして告白が成功して喜んだのもつかの間、彼がその日の晩に殺されてしまったことだ。
私は絶望し、自ら命を絶った。
そして目が覚めると、告白の2日前に戻っていたのだ。
そこからは、地獄のような繰り返しが続いた。
再び告白し、結ばれ、死別する。
告白のやり方を変えてみた。
彼の死に様を見て、様々な忠告もした。
けれど彼は、1度たりとも生き延びられなかった。
何度目だっただろうか。
また''今日''へと戻ってきてしまい、今度はどうしようと悩む私にショッピ君が声をかけてきたのだ。
たしか、こう言われたはずだ。
「何か死人みたいな顔してますけど、大丈夫っすか？」
死人みたい、ではない。
私は間違いなく死人だった。
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笹良柚紀(プロフ) - 碧さん» コメントありがとうございます！今後も拗らせた話を中心に書いていきますので、お付き合い頂ければ幸いです〜 (2019年11月8日 21時) (
レス) id: da544bddee (このIDを非表示/違反報告)
碧 - 初めまして、いつも楽しく読ませていただいております！ヤンデレ大好きです（真顔）。これからも頑張ってください！応援しています。 (2019年11月8日 20時) (レス) id: b98328a63d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：笹良柚紀
| 作成日時：2019年2月9日 3時
