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私は家へ帰ってまず両親にこのことを話した。
二人とも黙り込んでしまって、けれどやがて父さんは
「全てはお前の人生だ、お前が考えて決めた事なら父さんは応援するよ。」
と言って、母さんも頷いてくれた。
それから私は2日間ずっとどうするべきか考えて、最期の１日は友達や両親に別れの挨拶をして回った。
やっぱりこの町で普通に生きていくことはもう考えられない。
誰かが、私を呼んでいるような気がしたのだ。
「来る……いや、行くのですね。貴女は。」
「はい、よろしくお願いします。」
村の入口へ来た私を見た枢機卿は少し悲しそうだった。
険しい道を選んだ私を心配してくれているのだろう。
「分かりました、どうか神の御加護がありますよう。オプロイテ、彼女を後ろに乗せてあげてください。」
「かしこまりました。さあ、気をつけて上がってね。」
オプロイテさんは3桁の死を背負っているとは思えないほど優しく私の手を取って馬上へと引き上げてくれた。
これから私も、ここまでではないにせよ数多の死に触れていくのだろうな。
そうぼんやりと考えながら馬の背に揺られて私は首都へと向かっていった。
それから数年、私は正式に騎士となりオスマン枢機卿の元で奇跡の使い方を学んだ。
訓練の結果少し先の未来を予知する能力を手に入れて、それで誰かを救ったり、救えなかったり。
そうしているうちに分かったのだが、例え間接的あるいは直接的に命を奪ったとしても、本人がそこに罪悪感を持たなければ見える数字は増えないらしい。
私の頭の上の数字は少しづつだが増えて行った。
まだようやく2桁を数えたそれですら私の肩に重くのしかかり、弱い心は涙を流したけれど枢機卿はそれでいいのだと仰ってくださる。
「涙が出るのは心がきちんと機能している証拠です。騎士の中には感情を捨ててしまう者や、力に溺れ悪魔に心を飲まれてしまう者もいます。神の御心に寄り添えるのは人だけ、人であることを止めてはいけませんよ。」
彼の言葉を胸に刻み、私はゾチ帝国侵攻軍との戦いに身を投じた。
彼等は悪魔の業――即ち旧時代の科学なる技術だけでなく、悪魔そのものまで使役してくる。
未知の敵が多い戦いにおいて、奇跡の特性上おのずと私は最前線にて斥候の役を務めることになった。
「……おかしいな、地形的にはこの辺りに敵の大隊がいそうなんだけど。」
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笹良柚紀(プロフ) - ごみくずさん» ご満足いただけたなら何よりです、改めてリクエストありがとうございました！ (2018年10月9日 20時) (
レス) id: da544bddee (このIDを非表示/違反報告)
ごみくず(プロフ) - 笹良柚紀さん» わぁぁぁあああありがとうございます……！！！お互いの依存具合とか壊れっぷりが半端なくだいすきです…文章もとっても綺麗で…ほんともう…ありがとうございます…() 素敵な作品を本当にありがとうございました！これからも陰ながら応援してます…！ (2018年10月9日 13時) (レス) id: 716d47e424 (このIDを非表示/違反報告)
笹良柚紀(プロフ) - ごみくずさん» リクエストありがとうございます！ ゆっくり消化ですが気長にお待ちいただければ幸いです〜 (2018年10月7日 14時) (レス) id: da544bddee (このIDを非表示/違反報告)
ごみくず(プロフ) - コメント失礼します。貴方様の文章が大好きで、いつも更新の度に楽しませて頂いてます。そこでリクエストなのですが、｢ut先生、好きすぎて暴力を振るってしまう夢主とそれを受け入れてしまうut先生、共依存｣が見てみたいです…気が向いたらお願いします (2018年10月7日 8時) (レス) id: 716d47e424 (このIDを非表示/違反報告)
笹良柚紀(プロフ) - 変なカピバラさん» コメントありがとうございます！ そう言って頂けると大変励みになります。不定期更新ですが今後とも楽しんで頂ければ幸いです〜 (2018年7月25日 10時) (レス) id: da544bddee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：笹良柚紀
| 作成日時：2018年4月10日 22時
