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「誰か、誰かいないの！？」
必死の呼び掛けに応えるものはいない。
恐怖に震える息遣いを楽しみつつ、俺は慎重にクリアリングしながら探索を続けた。
いくら実力差があれど、不意打ちを喰らえば負ける可能性はゼロではないのだ。
こんな楽しいシチュエーションをつまらないミスで終わらせたくはなかった。
ふと、廊下を歩きながら窓付きの壁へ視線をやると、見慣れた服がちらりと見えて。
立ち止まれば本棚の奥に縮こまっている彼女と目が合った。
「来ないで！！」
恐怖に耐えきれなかったのか、そう叫んだ彼女は弓を構えたが当然俺達の間には窓があるのだ。
例え矢を射ったとして俺には届かない。
「まあまあ、そう怖い顔しなさんなって。」
俺は窓へ近寄って笑顔で話しかけた。
怯えきったAは泣きそうな顔で、嗚呼、やっぱり可愛い。
前から彼女に想いを寄せていたが、今の酷く弱りきった姿は余計に愛おしく思えた。
「もうお前と俺しかおらんってのは分かったやろ？」
「その……ようだね。」
大きく息をつき、少し冷静さを取り戻したようにも見えるが構えた弓矢は明らかに震えている。
それでは正確に狙うことは出来ないだろう。
不意打ちも不可能になった今、彼女の勝機は完全に潰えたと言っていい。
だから、少しくらいのナメプは許されるよな？
「ま、ゲームのルールはお互い分かっとるわけやけど。俺個人としてはな、お前を殺さんルートもあると思うんよ。」
「ど、どういうこと？」
Aを殺してゲームを終わらせるのは簡単なのだが、それをしてしまうのが惜しいという気持ちが芽生えつつあるのも本心だった。
何せ、ここでは彼女と俺の二人きり。
このままなら誰にも邪魔されず永遠を過ごすことが出来るのだ。
「お互いに弓矢を捨てるってのはどうや。どうせ俺とやり合っても、お前の分が悪いのは分かっとるやろ？」
「……先にトントンが捨ててくれるなら、私も捨てる。」
ここで俺に先に捨てろと言ってくるのは少々意外だった。
もうそんな交渉をする胆力は残っていないと思っていたが、まだ心は折れきっていなかったらしい。
面白い、どうせ俺が先に捨てた所で彼女が反撃に出られるとも思えないしここは譲っておこう。
「ええよ、ほれ。」
俺は弓と矢を床に置いた。
それを見たAもまた、持っていた弓と矢を床に置く。
素直に提案を呑んだ所から推測するに……そうだな。
「なあ、非武装化したことやしそっち行ってもええかな？」
「……どうぞ。」
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笹良柚紀(プロフ) - ごみくずさん» ご満足いただけたなら何よりです、改めてリクエストありがとうございました！ (2018年10月9日 20時) (
レス) id: da544bddee (このIDを非表示/違反報告)
ごみくず(プロフ) - 笹良柚紀さん» わぁぁぁあああありがとうございます……！！！お互いの依存具合とか壊れっぷりが半端なくだいすきです…文章もとっても綺麗で…ほんともう…ありがとうございます…() 素敵な作品を本当にありがとうございました！これからも陰ながら応援してます…！ (2018年10月9日 13時) (レス) id: 716d47e424 (このIDを非表示/違反報告)
笹良柚紀(プロフ) - ごみくずさん» リクエストありがとうございます！ ゆっくり消化ですが気長にお待ちいただければ幸いです〜 (2018年10月7日 14時) (レス) id: da544bddee (このIDを非表示/違反報告)
ごみくず(プロフ) - コメント失礼します。貴方様の文章が大好きで、いつも更新の度に楽しませて頂いてます。そこでリクエストなのですが、｢ut先生、好きすぎて暴力を振るってしまう夢主とそれを受け入れてしまうut先生、共依存｣が見てみたいです…気が向いたらお願いします (2018年10月7日 8時) (レス) id: 716d47e424 (このIDを非表示/違反報告)
笹良柚紀(プロフ) - 変なカピバラさん» コメントありがとうございます！ そう言って頂けると大変励みになります。不定期更新ですが今後とも楽しんで頂ければ幸いです〜 (2018年7月25日 10時) (レス) id: da544bddee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：笹良柚紀
| 作成日時：2018年4月10日 22時
