☆愛は真綿のように。【ut】 ページ35
(ut視点、ごみくず様から頂いたリクエスト、「ut先生、好きすぎて暴力を振るってしまう夢主とそれを受け入れてしまうut先生、共依存」に沿って書いた作品です。
上記の通り、流血はない程度ですが暴力描写が入りますので苦手な方はご注意下さい。)
ベッドの上にゆっくりと押し倒された俺は、これから何が起こるか知りながらも特に抵抗することなくマットレスに背中を沈めた。
のそりと俺の腰の上に乗って体重をかけてくるAは今にも泣き出しそうで、体勢とは裏腹に少しも甘い雰囲気はない。
「なんで。」
掠れた声が空気を震わせた。
それが彼女の中の合図だったのか、おもむろに俺の首へ伸ばされた手に力が込められる。
気道が潰され、無意識のうちに開いた口から乾いた音が漏れた。
「なんで、どうして浮気するのぉ……！」
ぱたぱたと冷たい雫が俺の頬へと落ちて来る。
浮気なんてしてない、するわけがない。
しかし俺はその弁明をすることもなく、そもそも本気になれば彼女の手を引き剥がすことも容易であるにも関わらずこの状況を甘んじて受け入れていた。
「うぅ……やだ、やだよぉ……！」
子供のように嗚咽を漏らしながら俺の首を絞め続けるAには、普段の聡明で温和な彼女の面影はまるでない。
俺だけが知っている、俺だけのAの姿。
彼女が醜態を晒せば晒すほど、執着されているという事実に脳内がどろりと幸福で満たされる。
やがて意識も虚ろになってきた頃。
唐突に首を解放され、俺は咳き込むことになった。
「あ、あぁ……駄目だ……わ、私は、また……！」
Aは先程まで俺の首にかけていた両手で自分の顔を覆い、真っ青な顔で狼狽している。
もう何度見たかも分からないその流れの中、彼女はいつもと違う行動に出た。
「このままじゃ私、本当に鬱先生のことを殺しちゃうかもしれない……。」
そう呟いた顔はまるでこの世の終わりでも見たかのようで。
虚ろな目は何かを探すように視線を彷徨わせ、やがてテーブルの上に置きっぱなしにされた大きなハサミをとらえた。
引き寄せられるかのようにゆらりと伸びた腕。
……あ、あぁ……そんなのは絶対に駄目だ……！
Aの考えを全て理解した俺は衝動のまま彼女を引き戻し、自分の腕の中へ納めた。
「鬱先生？」
「なんで俺を置いていこうとすんの……。」
それはただの想像で、少し口に出しただけなのに。
心の底が寒くて寒くて俺は身震いを押し殺すように彼女を強く抱き締めた。
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笹良柚紀(プロフ) - ごみくずさん» ご満足いただけたなら何よりです、改めてリクエストありがとうございました！ (2018年10月9日 20時) (
レス) id: da544bddee (このIDを非表示/違反報告)
ごみくず(プロフ) - 笹良柚紀さん» わぁぁぁあああありがとうございます……！！！お互いの依存具合とか壊れっぷりが半端なくだいすきです…文章もとっても綺麗で…ほんともう…ありがとうございます…() 素敵な作品を本当にありがとうございました！これからも陰ながら応援してます…！ (2018年10月9日 13時) (レス) id: 716d47e424 (このIDを非表示/違反報告)
笹良柚紀(プロフ) - ごみくずさん» リクエストありがとうございます！ ゆっくり消化ですが気長にお待ちいただければ幸いです〜 (2018年10月7日 14時) (レス) id: da544bddee (このIDを非表示/違反報告)
ごみくず(プロフ) - コメント失礼します。貴方様の文章が大好きで、いつも更新の度に楽しませて頂いてます。そこでリクエストなのですが、｢ut先生、好きすぎて暴力を振るってしまう夢主とそれを受け入れてしまうut先生、共依存｣が見てみたいです…気が向いたらお願いします (2018年10月7日 8時) (レス) id: 716d47e424 (このIDを非表示/違反報告)
笹良柚紀(プロフ) - 変なカピバラさん» コメントありがとうございます！ そう言って頂けると大変励みになります。不定期更新ですが今後とも楽しんで頂ければ幸いです〜 (2018年7月25日 10時) (レス) id: da544bddee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：笹良柚紀
| 作成日時：2018年4月10日 22時
