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普段は機械に繋いでメンテナンスするだけなのだが、パーツの破損が酷い時には人間で言う所の手術のようなものが必要になる。
そろそろメカニックが迎えに来る頃だろう。
「あー、そうかも。じゃあ教授、また明日。」
「はい、また明日。」
私はメンテナンスドッグを後にして私室へ戻った。
窓からは夕日が差し込み、グラデーションのかかった空に雲が走る様はこの世の終わりのように美しい。
酷く感傷的な気分になっていた私は、棚においてある楕円形の金属と樹脂の塊のうち一つを取りだして抱えたまま愛用のチェアに腰掛けた。
「そうですね。貴女には識りようもないですし、識る必要もないことでしょう。」
腕の中の、かつて彼女だったものに語りかけた。
これは私の部屋にやってきたのが一番新しい――つい先週末死んだ彼女のものだ。
アンドロイドである彼女は、この頑丈に守られた頭部の中枢にある情報チップさえ回収出来れば例え他のパーツを粉々に破壊されたとしても新しい身体に記憶を引き継いで生まれ変わることが出来る。
私が先程会話した彼女は4人目で、肉体的にはつい今朝生まれたばかりだった。
彼女自身はその事を知らされておらず、戦闘中に攻撃を受けてシステムダウンした後修理してもらって意識を取り戻したのだと思いこんでいる。
その事実に向き合う時、私は考えずにはいられないのだ。
彼女が自分の記憶と呼ぶそれは、一体誰のものなのか？
チップの中のものは所詮データの塊でしかなく、だからこそ彼女は三度の死を超えて存在しているとも言えるが。
そもそも私が最初に話した彼女と、今日会話した彼女は同一人物なのだろうか。
同一人物である定義とは、覚えているということは、生まれ死ぬということは……。
考えることがあまりに多く、少しも思考がまとまらない。
彼女の1度目の死の時、その報せを聞いた私は膝から崩れ落ち、その後チップ移植さえすれば蘇ると聞いた時は安堵のあまり泣いてしまった。
自分がそこまで彼女に執着していることに驚きはしたが、素直に再起を喜んだのだ。
しかし後になって彼女が再び死を迎えた時、考え始めてしまった。
彼女は、Aという呼称を持つ時彼女達は、本当に同一の存在なのだろうか。
私は視線を落とし、腕の中の塊を強く抱き締める。
それは冷たく無機質で、おおよそ生命の気配など感じられない。
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笹良柚紀(プロフ) - ごみくずさん» ご満足いただけたなら何よりです、改めてリクエストありがとうございました！ (2018年10月9日 20時) (
レス) id: da544bddee (このIDを非表示/違反報告)
ごみくず(プロフ) - 笹良柚紀さん» わぁぁぁあああありがとうございます……！！！お互いの依存具合とか壊れっぷりが半端なくだいすきです…文章もとっても綺麗で…ほんともう…ありがとうございます…() 素敵な作品を本当にありがとうございました！これからも陰ながら応援してます…！ (2018年10月9日 13時) (レス) id: 716d47e424 (このIDを非表示/違反報告)
笹良柚紀(プロフ) - ごみくずさん» リクエストありがとうございます！ ゆっくり消化ですが気長にお待ちいただければ幸いです〜 (2018年10月7日 14時) (レス) id: da544bddee (このIDを非表示/違反報告)
ごみくず(プロフ) - コメント失礼します。貴方様の文章が大好きで、いつも更新の度に楽しませて頂いてます。そこでリクエストなのですが、｢ut先生、好きすぎて暴力を振るってしまう夢主とそれを受け入れてしまうut先生、共依存｣が見てみたいです…気が向いたらお願いします (2018年10月7日 8時) (レス) id: 716d47e424 (このIDを非表示/違反報告)
笹良柚紀(プロフ) - 変なカピバラさん» コメントありがとうございます！ そう言って頂けると大変励みになります。不定期更新ですが今後とも楽しんで頂ければ幸いです〜 (2018年7月25日 10時) (レス) id: da544bddee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：笹良柚紀
| 作成日時：2018年4月10日 22時
