第一滑走 ページ2
「はわわわわわっ!ヴィ、ヴィクトル凄いっ!お兄ちゃん、ロシアのヴィクトルニキフォロフ凄いよっ!」
勇「そうだね、僕もヴィクトルみたいなスケーターになりたいなぁ」
「Aもっ!」
小さい頃、世界選手権を見て、お兄ちゃんと私の二人でヴィクトルに憧れたのがキッカケだった。
そして幾つかの年月が経った今、お兄ちゃんはヴィクトルをコーチとして迎い入れた。
私は何故か、喜び、お兄ちゃんを祝おうなどという感情は沸き上がって来なかった。
何故かは分かっていた。簡単なことだもの。
嫉妬。
ヴィクトルはお兄ちゃんのコーチ。そう考えるだけで嫉妬をしてしまう。
それから私とお兄ちゃんは話さなくなって…いやお兄ちゃんは話しかけてくるけど。ついには私は、部屋に引きこもるようになった。
トイレに行きたくなったから、部屋を出た。
「げっ…!」
いつもは誰も居なくなるまで部屋に引きこもっていたから考えていなかった。
今はヴィクトルを入れての家族でお騒ぎ会を開いていたのだった。
そういえば今日朝お母さん言ってたっけ?
まぁ普通にしてれば話しかけてくる人も居ないだろう。
気にするな、A!
トトトトトトトトッスサササササッ
よしっ!あとはこの角を右に曲がるだけっ!
勇「A〜!こっち来なよ〜!」
「うっ」
ヴィ「勇利、あの子が妹?」
勇「え?ああうん。そうだよ?ヴィクトルは見るの初めてだよね」
ヴィ「あぁ、初めてだね」
ヴィクトルナイス!とか思いながらトイレに来てしまった。
あぁ…もう私ここから一歩も動けないんですけど…!
「はぁ…」
もういいや。このままダッシュで部屋に戻れば誰も相手にしないだろうから。
よし、行くか。
「……………………」
ダッシュ!!
タタタタタタタタタタッ
ドカッ
「うあっ!いってて…」
あっ…ヤバい。
後ろからの視線がっ…!
「ひぃっ!!」
逃げろっ!
ドカッ
えっ…なんで動けないのっ!
ていうかなんか体が重い…まさか太った!?
いやそんな馬鹿なっ…!
じゃあ人が乗ってるのっ!?
一体誰がっ!
「…!?んなっ!ユーリプリセツキー!?」
ユ「あ?…なんだお前。」
めっちゃムカつくっ!初対面でそんな事言う!?
言わないわっ!普通は挨拶だろうが!
ユ「ほら…立てるか?」
ん!?
えっ…!普通に優しい…?
ユ「おい、聞いてんのか?」
「あっえっと…あ、ありがとうございます。」
あ、あれ?頭がクラクラす…る…。
バタンッ
ユ「おいっ!大丈夫か!おいっ………」
耳が…遠く…なって…く………
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作者名:Riona☆ | 作成日時:2017年4月7日 16時