第四十五話 〈埋葬〉 ページ8
ぱち。
伊之助が目覚めた。
紅緒の羽織が毛布代わりに掛かっている。
「あ、お早うございます」
緋音が声をかける。
青空を背にして、見下ろしている。
簡単に言おう。
伊之助が緋音に膝枕されている状態である。
善逸が、羨ましそうに、妬むように伊之助を見ていた事は黙っておく。
ハッ
がばーっと、伊之助が文字通り飛び起きた。
「うわっ、起きたァ！！」
「勝負勝負ゥ！！」
「寝起きでこれだよ。一番苦手これ！」
「何やってんだよ…」
善逸と伊之助が追いかけっこをしている。
善逸が隠れるように、てる子の後ろに回り込み、盾にした。
伊之助が見たのは、土を掘って、石を積み、土の山を作っている姿。
「何してんだァ、お前ら」
「埋葬だよ。
伊之助も手伝ってくれ。まだ屋敷の中に殺された人がいるんだ」
「生き物の死骸なんて埋めて何の意味がある。
やらねぇぜ、手伝わねぇぜ！！そんなことより俺と戦え！！」
さも当たり前のように言った。
悪気は全く無い。
「そうか…」
炭治郎が眉を八の字にしながら言う。
.
.
「傷が痛むから、できないんだな？」
「……は？」
伊之助の顔に、青筋が立った。
「いや、いいんだ。
痛みを我慢できる度合いは人それぞれだ。
亡くなってる人を屋敷の外まで運んで、土を掘って埋葬するのは本当に大変だし、
善逸と緋音と紅緒、この子達で頑張るから、大丈夫だよ」
(ずれてる……)
(ずれてる……)
(うーわっ……)
挑発しているわけでは無い。
本人はそのつもりが全く持って無い。
ニコー、としながら、「伊之助は休んでいるといい」と言う。
善意百％なのだ。親切心なのだ。
.
「伊之助さん、大丈夫ですか？休みます？」
(お前も止めろ馬鹿！！)
大分ピキピキしていた伊之助に、緋音がトドメを刺す。
「はあ゛ーーーん！？
舐めるんじゃねぇぞ、百人でも二百人でも埋めてやるよ。
俺が誰よりも埋めてやるわ！！」
百人も二百人もいないが、
ともあれ、伊之助がやる気を出し、凄い勢いで終わった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 12人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夢石榴(プロフ) - 星飼いさん» 久しぶりです。かわいい双子コンビ。書いてて楽しいです。頑張ります (2020年10月25日 20時) (
レス) id: e829fc57fc (このIDを非表示/違反報告)
星飼い(プロフ) - 久しぶりだ―！！嬉しい。やっぱ白黒ちゃん好きだなぁ。頑張って下さい！ (2020年10月25日 20時) (レス) id: 95c1335c47 (このIDを非表示/違反報告)
夢石榴(プロフ) - みるくストロベリーさん» ありがとうございます！！面白いと言って頂けて嬉しいです！！頑張ります！！ (2020年7月28日 16時) (レス) id: e829fc57fc (このIDを非表示/違反報告)
みるくストロベリー - とっても面白い！！これからも頑張ってください、応援してます！！ (2020年7月28日 6時) (レス) id: 9d5389f299 (このIDを非表示/違反報告)
夢石榴(プロフ) - 星飼いさん» アドバイスありがとうございます。なんか考えてた日々が懐かしい。頑張ります！ (2020年6月27日 21時) (レス) id: e829fc57fc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夢石榴 | 作成日時：2020年2月15日 23時
