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第六十五話 〈可愛い小鳥を〉 ページ31

月が綺麗だ。
恐ろしいほどまんまるで、薄い黄色に輝く。

毒を扱う蜘蛛鬼と会敵し、辛勝した善逸の身体は、徐々に毒に侵されていた。手足の感覚も既になくなりつつある。全集中の呼吸でなんとかしているものの、それももう限界だった。



(禰豆子ちゃん…ごめん…)



想い人の名を、心の中で呼ぶ。







「もーもたろさん、ももたろさん♪」



呑気な歌声が聞こえた。



「おっ腰につっけた、きーびだーんごー♪」



ふわりと、横たわる善逸のそばにしゃがむ。



「ひっとつーわったしに…くださいな?」



白い髪を束ね、右側で緩い三つ編みを施している。装飾硝子(ステンドグラス)のような模様の、花の飾りがついた蝶の髪飾りを揺らす。瑠璃の瞳で善逸の顔を覗いている。
どこかで見たことのあるような、そんな顔をしていた。



「ねーキミ、大丈夫かい?」



その少女は、にぱっと、この場にそぐわぬ表情をしてみせた。









「あー、その人は右から二番目の薬使って。そっちの蜘蛛なりかけの人、横にしといて。そこの人は出血が多いね。止血剤お願い」



隠にてきぱき指示していく。
蟲柱・胡蝶しのぶも、彼女の指示に従う。“階級は下”だというのに。



「しのちゃん、ボク、ちょっと抜ける」

「そうですか、では、私もそろそろ行かなければいけませんね」



ぐっぐっ、と柔軟をする。
あー、眠いよー。と、笑っていた。内心は違うだろうが。



「ところで、どこにいくんですか?」

「んー、そうだな。まあ、でも、」



決まっているか。愚問だった。彼女にはこれ以外有り得ない。









「ボクの愛しの可愛い小鳥を、迎えに行くのさ」







.

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夢石榴(プロフ) - 星飼いさん» 久しぶりです。かわいい双子コンビ。書いてて楽しいです。頑張ります (2020年10月25日 20時) (レス) id: e829fc57fc (このIDを非表示/違反報告)
星飼い(プロフ) - 久しぶりだ―!!嬉しい。やっぱ白黒ちゃん好きだなぁ。頑張って下さい! (2020年10月25日 20時) (レス) id: 95c1335c47 (このIDを非表示/違反報告)
夢石榴(プロフ) - みるくストロベリーさん» ありがとうございます!!面白いと言って頂けて嬉しいです!!頑張ります!! (2020年7月28日 16時) (レス) id: e829fc57fc (このIDを非表示/違反報告)
みるくストロベリー - とっても面白い!!これからも頑張ってください、応援してます!! (2020年7月28日 6時) (レス) id: 9d5389f299 (このIDを非表示/違反報告)
夢石榴(プロフ) - 星飼いさん» アドバイスありがとうございます。なんか考えてた日々が懐かしい。頑張ります! (2020年6月27日 21時) (レス) id: e829fc57fc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夢石榴 | 作成日時:2020年2月15日 23時

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