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「無一郎には長生きして欲しいねぇ…」

「そうだな…」



指と指を絡め合わせた二人の手は僅かな温もりを宿していた。

優しく優しく握られているけれど、絶対に放すまいと言いたげに少しも揺らぎなく力が篭っている。


きっとこれは幸せの象徴。



「ねえ、有一郎。」

「なんだ?」



想い人が隣にいる。ただそれだけで顔が綻び満悦が隠せない。胸の膨れるような幸福感と陽だまりのような温もりを感じることができる。

嗚呼、なんて幸せなのだろう。



「好きだよ。」

「俺も、お前が好き。」

「愛してる。」

「俺もAを愛してる。」

「生まれ変わってもさ、こうして一緒に並んでいたいな。」

「当たり前だろ。」



ふふっと綻ぶAを前に、有一郎の鼓動は高鳴る。
嗚呼、好きだ、と今日も今日とて再確認させられる。



本当は、願わくば。
鬼なんてものと出会わず。しわくちゃになるまで生きて欲しかった。

何も知らずに、神様や仏様なんていう人間の作り出した空想上の存在に縋らせてやりたかった。健気に、天に向かって祈りを捧げ続けた報いを受けさせてあげたかった。



でも、何よりも。
自分を愛してくれていることが、自分に縋っていてくれることが、嬉しくて仕方がない。



「なぁ、A。」

「どうしたの、有一郎。」



花弁が舞い散る幻想的な光景よりも、ふわふわと漂い、儚くその命の灯火を散らしていく蛍よりも、どれだけ鮮やかな山吹色の綺麗な銀杏の葉よりも。

何よりも美しく愛おしい、そんな人に。



「こんなにも愛してるってことは。
俺もきっと、お前に縋っているんだよ。」



Aは一瞬目を丸くしたけれど、すぐにいつもの笑顔に戻って幸せそうに目を細めた。



「じゃあ、相思相愛の縋り縋られの関係?」

「そうだな。」



Aは有一郎の手をぎゅっと握ると、花が綻ぶように笑みを零した。それに釣られて有一郎も愛おしそうに微笑む。


彼らは確かに、幸せを生きた。
そして今尚、幸せを噛み締めている。

こんな日がいつまでも、いつまでも。
続くことを願って。








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白霞(プロフ) - ゆっくり四つ葉さん» コメントありがとうございます。お返事遅くなってしまい申し訳ありません。複数回読んで頂けたのですね…!感謝の限りでございます。そんな風に言ってくださりありがとうございます。最後まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年9月15日 7時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
ゆっくり四つ葉 - 何回でも見に来て涙腺崩壊させられてます。しかも作者様一人一人に返信までしてくださっていて…!作者様の良い人が滲み出ている…なんというか、はい、土下座したいくらい素晴らしい作品でした。このお話、ずっとずっと語り継がれていたらいいなぁ… (2020年9月2日 22時) (レス) id: 135b7cf6d1 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - シバさん» コメントありがとうございます。そのように言って頂けて光栄の極みでございます。最後まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年8月30日 21時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
シバ - あれ……………目の前がぼやけてきたぞ…… (2020年8月30日 11時) (レス) id: 344258cf85 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - かりんさん» コメントありがとうございます。そのように言って頂けて感謝の限りです。最後まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年8月21日 0時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白霞 | 作成日時:2020年6月20日 20時

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