． ページ5
．
物心ついた時から、俺達はずっと一緒だった。
Aの家は俺達の家から少し離れた場所にある。そこでAは父さんと同じ
Aの両親はどちらもAが生まれてすぐ、不慮な事故で亡くなってしまったらしい。
その為、すぐに祖父の元に引き取られたと言っていた。
Aは昔からそれはそれは綺麗な少女だった。
春に咲く野花より、夏の白雨より、秋の紅葉より、冬に降る雪の結晶よりもずっとずっと綺麗な子だった。
大きくなったら大層な美人になるな、と父さんも母さんも言っていた。俺か無一郎の元に嫁いでくれたら良いのに、と。
俺は何も言わなかったけれど、無一郎はAがお嫁さんだったら幸せだろうね、と笑っていた。俺もそう思うし素直に同じ気持ちだった。
Aがもしもお嫁さんだったら幸せなんだろう、と幼いながらに布団の中で想像して一人恥ずかしくなった記憶がある。
多分、その時から恋焦がれていたんだ。
俺の気持ちに父さんや母さんは気づいていたのかもしれない。Aの家に何かを持っていく頼み事は無一郎よりも俺に頼むことの方が多かったし、やたらとAの話ばかり俺にした。
また俺かよ、と形ばかりの言葉を取り繕っていたけれど、内心凄く嬉しかった。
Aに会えるという事実だけで胸が高鳴った。
Aはそんなに身体が強くないからすぐに熱を出してしまった。
だから爺ちゃんが仕事でいない時は決まって俺がAの面倒を見ていた。
『迷惑かけちゃってごめんね。』
これがAの口癖だった。俺は迷惑だなんて思ったことないし、寧ろAと一緒にいられることが嬉しかったからそんなことないといつも返していた。
すると決まってAははにかみながらありがとう、と呟く。
今では大分熱を出さなくなったけれど、いつかまたAが苦しんでいる時は俺が傍にいてやりたい。
そして俺が守ってやるんだ。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 174人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白霞(プロフ) - ゆっくり四つ葉さん» コメントありがとうございます。お返事遅くなってしまい申し訳ありません。複数回読んで頂けたのですね…！感謝の限りでございます。そんな風に言ってくださりありがとうございます。最後まで閲覧頂きありがとうございました！ (2020年9月15日 7時) (
レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
ゆっくり四つ葉 - 何回でも見に来て涙腺崩壊させられてます。しかも作者様一人一人に返信までしてくださっていて…！作者様の良い人が滲み出ている…なんというか、はい、土下座したいくらい素晴らしい作品でした。このお話、ずっとずっと語り継がれていたらいいなぁ… (2020年9月2日 22時) (レス) id: 135b7cf6d1 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - シバさん» コメントありがとうございます。そのように言って頂けて光栄の極みでございます。最後まで閲覧頂きありがとうございました！ (2020年8月30日 21時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
シバ - あれ……………目の前がぼやけてきたぞ…… (2020年8月30日 11時) (レス) id: 344258cf85 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - かりんさん» コメントありがとうございます。そのように言って頂けて感謝の限りです。最後まで閲覧頂きありがとうございました！ (2020年8月21日 0時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白霞
| 作成日時：2020年6月20日 20時
