嫁と彼女と。【桃】 ページ24
.
「今日も嫁を救出しに行くぞ！」
「佐久間、最近行き過ぎじゃない？」
なんて○太に言われるけど、
毎日のように通う理由はそれだけじゃない。
「佐久間さぁ、またあの子見に行くのに俺も？」
「当たり前だろー、一人じゃ怪しまれる。」
ふっかには教えてる、なぜ行くのかと。
実はもう行き過ぎて嫁を助ける任務を終えてしまっている。
だから行っても同じ嫁を何個も何個も助けていて。
駅前のゲームセンターでは身バレが起きてしまうからと
ふっかと探し求めて歩いた今の行きつけ。
人は少ないけど、新作が入るのが早くて素晴らしい。
「今日は休みかな。」
嫁の次、いや、今は嫁よりもお目当ての子を探している。
勿論、三次元の動いてる子。
「あー、Aちゃん！今日も来たよ。」
遠くでふっかの声がすると思ったら前にはお目当てちゃん。
『ふっかさん、今日は何狙いですか？』
「黄色のモンスターリュックかな。」
『商品名で言ってください、独特な言い方過ぎます。』
ふっかと彼女は異様に仲が良い。
というか、人見知りな俺とは違ってふっかは
フレンドリーに話しかけるから仲良くなりスピードが速い。
『あれ、さっくんさんは？』
「あそこ。」
なぜか台に隠れてしまっていたけど、透明だから見える。
何と恥ずかしい姿を見せてしまったのだ。
きっと今耳が赤い、確信を得た。
「ひ、久し振りでやんす〜。」
『昨日も会いましたよ、もう。』
くすくすと笑ってくれて、少し派手に染められた
茶色いロングな髪を耳に掛ける。
全男子が好きであろう仕草に俺もずっきゅんと来た。
「Aちゃんてさ、いつ休みなの？」
『バラバラなんですけど次の休みは明日です。』
ナイスふっか。
「じゃあ今日確実にキメるわ。」
「俺も嫁を、」
『さっくんさんのお嫁さん、新しい人来ましたよ。』
そう言ってその場所まで連れて行ってくれる。
ふっかはもう自分の世界へ。
ふたりきりで台の前に立つのは何だか緊張するな。
恋愛童貞ではないのに。
『ほら！今回も可愛いですね。』
「本当だ！綺麗ですなぁ。」
ふふ、といきなり笑う彼女に少し目線を下にして見た。
『このお嫁さん達は幸せ者です。』
「..どうして？」
『こんなに大事にしてくれる人に愛されているから。』
綺麗な言葉を口にした彼女の瞳は輝いて、
でも少し照れ臭そうだった。
今にでも溢れ出しそうな想い。
つい、口から出てしまいそうだ。
“嫁以上にAちゃんを大事にしたい。”
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 222人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Rabiy. | 作成日時：2020年9月9日 7時
