育む。 (ページ28)

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緩い彼の積極的な所、そして。【桃】ページ28

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『次何処行くー？』
「あのお店で呑み直そっか！」

大好きな友人と今日は朝までコースの飲み会を二人で開いていた。
友人には彼氏が居て良く惚気を聞いている。
その度に私も出会いが欲しいなとか思ったりして。

三軒目のお店に入り、ハイボールを何杯か飲んで
良い感じに酔って来た頃にお手洗いに立った。

メイクも直して出ると、一人の男性が壁に凭れていて
明るい髪にだぼっとした服装。
携帯を弄っているから俯き加減で顔は長い前髪で見えない。

狭いから身を縮めるようにして前を通ると

「あ！あの、」
『え、はい。』

突然顔を上げて声を出すから方がびくっとなった。
振り向いて顔に目線が行くと、凄く美形な青年が立っていた。

『な、んでしょうか..』
「あの、えっと。俺の顔知りませんか。」
『ごめんなさい、何処かでお会いしました？』

芸能関係にも疎い為そこは頭になかった。
一度会うと覚えているタイプなんだけどな。

「知らないか..俺、京本大我って言います。」
「良ければ一緒に飲みませんか？」

酔いも回って良い感じに楽しい気分。
こんな私だから勿論普段とは違う。

『友達も居るんですけどいいですか。』
「俺も友達と来てるので是非！個室に居ますので来てください！」

そう言って別れた。
事情を友人に話すと「いいよ～」と軽い返事。

告げられた個室に向かってノックすると彼が開けてくれて
「待ってました。」と満面の笑み。
後ろからは「初めまして、田中樹です。」と律儀に。

私達も自己紹介をして向かいの席に二人で座る。が、
そこからの記憶がない。

目を覚ましたら見慣れない天井とベット。
散らばる衣服達。極め付けは隣に京本くん。
綺麗なお顔で寝ていらっしゃる。

頭は混乱しながら衣服を集めて身に纏う。

すると物音で彼が目を覚まし
「Aさん..」と寝ぼけた声で勿論服は着ていない上半身を上げて、
『は、はい。』返事をした。

「昨日、俺で満足出来ましたか。俺は増々好きになる一方です。」
ふにゃっとした笑顔でこちらを見て言う彼。

好意的な言葉にぱくぱくした口で懸命に
『覚えてない、んですよね。ははっ。』
と苦笑いを添えて。

「んぇ、残念だな～」
「でも俺は本気なので。順番は逆になってしまったけど。」

『本気..とは？』

「俺、一目惚れしました。Aさんに。」
「必ず振り向かせます、だから友達から宜しくお願いします。」

彼は手を差し出す。驚きを隠せず、だが。
その手を握ったかはご想像に..お任せ。
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