YSSB 【短編集】

Purple rose ページ13

マジック



人間の錯覚や思い込みを利用し、実際には合理的な原理を用いてあたかも「実現不可能なこと」が起きているかのように見せかける芸能



私の会社はそんなマジックの道具を販売するところだ



今回はお得意様のところである世界的有名マジシャンのTAKAHIROさんの所へ向かった



ただ、いつも担当しているマリウスくんが風邪を引いてお休みなのでピンチヒッターで私に



TAKAHIROさんはパーティーにてマジックをすると言うので私も参加した



動画で何回か見たけど、ハッキリ言ってしまえば私はマジックなんて嫌い



あんな人騙しをして何が面白いのか全く分からない



まぁ…面接で落ち続けてようやく入れた会社だからそんなこと言えないんだけど



司会「皆様、本日はお集まり頂きありがとうございます。



本日は世界的有名マジシャン、Mr.TAKAHIROにお越しいただきました!!」



スポットライトが入口に当たる



そこから登場したのはいかにもマジシャンっぽい服装をした男性だった



あれがマジシャン、TAKAHIRO



想像してたのとちょっと違う



なんかもっとドヤ顔とかしてるのかなって



だけどどこか優しい笑顔



TAKAHIROさんが取り出したのはトランプカード



それをライターの火で燃やした後に降ると…



『…わぁ』



一瞬のうちに薔薇にかわったんだ



それだけじゃない



カードを適当に混ぜて1枚抜いてもらい



そこからその抜かれたカードを当てる



指輪を紐に通して



それを引っ張ってもらい、紐から取り出す



見ている私たちに夢を見せてくれている



そんなマジックだった



司会「それでは皆様、今一度大きな拍手を!!」



気がつけば私は



この会場にいる誰よりも大きな拍手をしていた

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