今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:163,579 hit
小｜中｜大
KotakiNozomu ページ10
〆．
「せんせー、プリント〜」
「ああ、ありがとう。悪いな」
「いーえ」
俺とAは教科係やった。簡単に言うたら雑用係やねんけど。
それでもAと二人やから良かった。
…………Aがおらん今、俺一人でやるしかないわけで。
Aの代わりの誰かを指名せんかったんは、Aの代わりなんておらんから。
一人で係の仕事をする俺を、周りも察したように励ましてくれた。
…………悔しい。
ほんまに悔しい。
Aのそばにおったのに、Aの異変に気付けへんかったやなんて。
Aが死を選ぶほど悩んでいたことがわからんかった。
ちょっとの弱みも見せてくれへんかった。
………でも、もっと気付くべき人がおったやろ？
その人が気付いてれば、もっと違う未来があったかもしれへんやろ？
あいつがAを殺したも同然や。
「…………………人殺し」
目には目を、歯には歯を。
Aが苦しんだ分、あいつも苦しめてやる。
「A………」
Aが死を迎える直前、目が合ったんや。
その顔が忘れられない。
つらそうで、悲しそうで、苦しそうで。
「大丈夫やで、A………。あいつを殺した後、俺もそっちいくから………」
係の名簿に書かれた俺と君の名前を、そっとなぞった。
〆．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 870人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はゆな
| 作成日時：2019年4月5日 1時
