町山交番の天使 ３ 【ハコヅメ】

98 ページ31

〈あの〜…〉


「免許の更新がしたいんですが」


川合「あっ、手続きは交番じゃなくて警察署で」


「ん？…何？」


聞こえてない…


川合「更新は警察署でお願いします」


「あんだって？」


川合「ですから…」


藤「川合。署まで連れて行ってあげて」


川合「はい。」


『私、車出してきます』


川合「ありがとうございます！」



・



『ただいま戻りました』


川合「ただいま戻りました」


藤「お疲れさん。どうだった？」


『ご家族も来られて返納を勧めたんですけど、免許返したくないって』


藤「あぁ…。」


伊賀崎「まぁ地方だと、車の運転ができないと不便だし、返納したくない気持ちも分かるけどね」


川合「なので検査を受けてもらって、交通課の方が結果次第で判断するそうです」


藤「そっか」


川合「ただ、おじいちゃん。全然納得行かなかったみたいで、延々文句言ってて。交通課の方、ひたすらそれを“うんうん“って聞いててあげてて」


交通課の方、大変そうだったなぁ…


川合「正直、交番の仕事の方が100倍マシだと思っちゃいました」


伊賀崎「それは言い過ぎでしょ」


川合「そうですか？私、交通課の仕事って不毛だと思うんですよ。」


『川合。やめなさい』


川合「交通課の方って、仕事してて何が楽しいんですかね」


伊賀崎「川合君」


え…？


だ、だれ？！


藤「交通課の宮原部長。」


宮原「悪いな。ちょっと内線電話借りたくて。」


ヤバい、これはヤバすぎる


川合「あっ、あの…今のは交通課は大変だと言う意味で…！」


宮原「俺は仕事、楽しいけどな。特に、川合の間違いだらけの交通切符の処理させられてる時。」


川合「ひっ！すみません！！」


(本部から町山。町山神社付近で、男が大声を出して徘徊していると通報あり。)


藤「川合。A。行くよ」


『「はい！」』


藤「すみません。失礼します」


『失礼します」


川合「失礼します！！」


あぁ〜…やらかしたぁ〜…


川合「宮原部長って交通課で一番怖いって噂ですよね」


『交通機動隊出身の職人かたぎだからね』


藤「まぁ、あの人のおかげで暴走族が大人しいんだけど」


川合「藤さんたち、よくご存知なんですか？」


藤「子供の頃、剣道教わってた」


『同じく』


川合「え？！」


藤「まだ宮原部長が駐在所にいた頃ね」


川合「えっ、それって藤さんと真白さんの師匠ってことじゃないですか！ヤバい、私そんなすごい人に…」

99→←97

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す