町山交番の天使【ハコヅメ】

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「あの子に“伝えてくれ”って言われました。“川合さん、ありがとう”って。本当に、ありがとうございました。」


…ありがとう、か。


伊賀崎「帰り、お気を付けください」


藤「川合。」


川合「はい。」


藤「あんた、自分の事しょうもない人間だって言ってたけど、警察官なんて皆、しょうもなくて普通の人間だよ。でも、みんな、制服着てる時は必死に警察官の面構えでいようと思ってるだけ。まぁ、川合はその面構えすらできてないけど」


川合「すみません…」


『でも、それでいいんだよ。警察官の顔をしていない川合だからこそ、できることがある。』


藤「焦らなくていいんだよ。ほっとしたり、ヒヤッとしたりを繰り返して少しずつ、警察官になって行けばいいよ」


私にしかできないこと…


川合「、はい」


『今、“はい”って言ったね』


川合「え？」


『じゃ、これいらないね』


そ、それは！


睡魔と闘いながら書いた辞職願…！！


ビリッ！


川合「あ〜！！せっかく書いたのに〜！！！」


え、え、？破りすぎじゃない？？


川合「そんなシュレッダーみたいにしなくてもいいじゃないですか！！真白さん？ちょっと、真白さん、ひ〜どっ！！」


なんてひどいことを…！！


川合「うわ〜、何が何だか分からなくなっちゃったじゃないですか！！」


『あ、ゴミ』


川合「真白さん！！もう、これもゴミになっちゃいましたよ！！」


『ゴミ？なら、ゴミ箱に突っ込んじゃいなよ』


川合「え？うわ〜！ひっど…。」


藤「Aが言う通りゴミはゴミ箱に入れなよ。川合」


川合「え、何、このドSコンビ！！」


伊賀崎「いいトリオになりそうだ」



・


拝啓 お父ちゃん。



そういうわけで私は、やけに暑かった初夏の日



結局、警察官を辞めませんでした。





「どこに目付けてんだよ、ブスが！」


川合「、どうか、安全運転で。」


藤「大丈夫？」


川合「はい。“どうせ来るなら、クソ野郎”…ですよね」


『分かってんじゃん。』


「「『どうせ来るならクソ野郎…どうせ来るなら…』」」





なぜ、私が続けることにしたのか？



私みたいな警察官が1人くらい居ても、いいんじゃないかって思えたのと、



この藤聖子と真白Aという、優しんだか怖いんだか分からない人たちに



もう少し、くっついて行こうと思ったからです。



ただ、藤さんと真白さんが交番に来た本当の理由を



私はまだ知りませんでした。

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