町山交番の天使【ハコヅメ】

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藤「署に戻って、報告しよう」


『川合…？』


川合は聖子さんの呼びかけに、一歩も動かなかった。


相当ショックだったんだろうな。


藤「…あなたは、ここに残りなさい。残って、坂本さんの状況を報告して」


川合「、はい」


・


伊賀崎「藤君、真白君。坂本さんは？」


藤「幸い、命に別状はないそうです。」


『今、病院で川合が付き添ってます』


伊賀崎「あぁ、そうか。よかったぁ。…川合君、ショック受けてない？」


『だいぶ受けてるかと』


腰抜かしちゃってたし、顔暗かったし。


ひったくり事案のこともあって余計にかな。


伊賀崎「あの子、辞めちゃうかもね」


藤「気づいてたんですか？」


伊賀崎「ん〜、まぁ、あんだけ何か言いたそうにしてればね気づきたくなくても…。ただね、藤君と真白君と組めば、その…ねっ。何とかなったりするのかなって。」


ハコ長、そんなこと思ってたんだ…。


伊賀崎「藤君も真白君も、パワハラで異動させられるような人じゃないでしょ。まぁ、真白君はちょっとばかり口が悪いけれど」


『それ、立派な悪口ですよ』


伊賀崎「ごめんごめん。…ここに来たのだって、あの事件と何か関係があるんじゃない？」


川合「只今、戻りました」


『坂本さんは？』


川合「さっき、意識が戻りました。」


『そっか。良かった。』


伊賀崎「お疲れさん」


川合「、私、警察官辞めます。」


そうだろうと思った。


川合「坂本さんの事、どうせ いつものだって勝手に決めつけて…。藤さんと真白さんのおかげで助けられたけど、もし、私だけだったら、もし、あのまま帰っていたら…坂本さん、きっと…。そもそも私、公務員になりたかっただけなんです。藤さんみたいに正義感もないし、使命感もないし、真白さんみたいに強くない、しょうもない人間なんです。」


あれ、私、強いだけ認定されてる？


正義感も使命感も人一倍あると思うんだけど…


川合「こんな人間、警察官でいる資格ありません。」



＜すみません。坂本太郎の母です＞



「「『はい』」」


「この度はうちのバカ息子が、大変ご迷惑をおかけしました。申し訳ありませんでした。」


伊賀崎「いえいえいえ。」


「あの…川合さんって方は？」


『この子です。川合巡査です』


「あなたですか。息子が言ってました。意識が戻った時、川合さんがいてくれて安心したって。今まで何度も息子の所に行ってくださったんですってね。」

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