49. ページ49
背筋が凍る
というのは、
多分、このことを言うのだろう。
今まで感じたことのない殺気を
私は全身で感じた。
息を飲みながら振り返る。
この中に、
この部屋の中に、
"あいつ"が、
「……………ヌナ、どうしました？」
ジョングクが
心配そうな顔を向けてくる。
私が振り返った時にはもう、
その殺気は消えていた。
「A、何を根拠に他殺だと言いきれる」
警部に声をかけられて、
返事をしようと空気を吸い込んだ時、
初めて自分の心臓が、
異常な程の速さで動いているのに気づいた。
「っ、……、」
「ヌナ、？」
咄嗟にジミンの座っている背もたれに手をつくと、
ジミンが私の肩にそっと手を添えた。
「………挿入部分、に」
「挿入部分？あぁ、充電器の」
ジミンがケータイを手に取り、確認する。
「そこに、焦げ跡があるでしょう、微かに」
「焦げ跡………？
え、これですか？」
ジミンがびっくりしたような顔をする。
「裸眼でよくこんなの見つけるねヌナ…」
「何者かが、
データの証拠隠滅を測った跡かと。
電気性の何かを使って中のSIMを壊した事例を
前に見たことがあります。
このケータイと同じように、微かですが焦げ跡が」
「わかった、じゃあそのケータイは
鑑識に回そう」
ジン警部の言葉に私は頷く。
「……ホソク、
もうそんな顔はするな」
ジスさんの現場を見て以降1度も口を開いていない
ホソクにナムジュンが声をかける。
「これからだぞ」
「……うん」
「…A、どうした
顔が真っ青だぞ」
警部が近寄ってくる。
「…………すみません、ちょっとお手洗いに」
ジミンの手を払って、私は
部署のトイレに逃げた。
「っ、で、………、なんで、」
わかってはいたことだった。
この警察署の中に、
"あいつ"がいることは。
でも、
「あの、中に、…………」
予想以上に狼狽えている自分に、
さらに動揺した。
いつの間に、
こんな弱い人間になっていたのだろう、私は。
『 ＿＿＿＿＿……守るものが増えると、』
彼の言葉が蘇る。
『守るものが増えると、自分を守れなくなる』
『殺す前に、殺される』
私は、その声を思い出しながら、
震える手で、
電話をかけた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2124人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
LILY(プロフ) - カナタさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます、続編の方も宜しくお願いします！！ (2019年4月10日 18時) (
レス) id: b26dd03b84 (このIDを非表示/違反報告)
LILY(プロフ) - ぼくさん» ありがとうございます、続編の方で更新がんばります！！ (2019年4月10日 18時) (レス) id: b26dd03b84 (このIDを非表示/違反報告)
カナタ(プロフ) - はじめまして！凄く面白いです！話の内容がしっかりしていて夢中で読みました！読んでる最中もドキドキが止まりません！続きが待ち遠しいです^^ 更新お待ちしてます！ (2019年4月10日 14時) (レス) id: 0d504a4dae (このIDを非表示/違反報告)
ぼく(プロフ) - 素敵な作品アリガトウございます、とても惹き込まれるお話なので、ぜひまた更新していただけたら嬉しいです！ (2019年4月8日 19時) (レス) id: 3804fd5d86 (このIDを非表示/違反報告)
しゃりり - 凄い続きが楽しみです！更新頑張ってください!!!待ってます！ (2018年12月28日 0時) (レス) id: 211b9b7947 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：LILY
| 作成日時：2018年6月10日 18時
