JASMINE

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捜査を一通り終えて署に戻ると
ジミンがジスさんのケータイの
復旧に当たっていた。


「お疲れ様です」

「おつかれジミン」


声をかけながら、自分の席に座る。









想定外のことが起きた。








ふぅ、とため息をつくと、
隣の席にジョングクもゆっくりと座った。


「お茶飲みます？」

「んーん、大丈夫。
怪我人は大人しくそこに座ってなさい」



はぁい、とジョングクは少し首を竦めた。

私はもう一度、ため息をつく。

すると、ジョングクが
ちょこんと私の眉間に指を立てた。




「ヌナ、おでこにシワ、寄ってますよ」

「……そりゃあ、寄るでしょう」

「ヌナはいつでも綺麗でいなくちゃ」




目元に皺を寄せてふわっと笑うジョングク。

この状況には合わないくらい、

明るくて眩しい笑顔。



「…そういうところよ、ジョングク」

「なにがですか？」

「そういうところ。」

「だから何が」




私もジョングクの顔を見て笑う。







そういうところが、



私がたまらなくあなたのことを、








「あーーーーーーーーーダメだぁっ！！！」


急にジミンが、がたんっと大きな音を立てながら
椅子に寄りかかって叫んだ。


「どうした、ジミン」

ナムジュンが声をかける。


「ぶっ壊れてます、このケータイ」

「見せて」


そう言いながら、私は立ち上がって
ジミンのデスクまで回る。


「外傷が凄いのはまぁ当たり前なんですけど、
中のSIMまでダメになってますこれ…」


ジミンが悔しそうな顔をしながら
ジスさんのケータイを触る。




ジスさんのケータイは、
画面から外のカバーまでバキバキに割れていた。


あの高さから落ちたのだから、
当たり前だろう。

でも。




「…………そんなこと、ある？」


私が聞くと、
ジミンも首を傾げた。


「水没とかしたわけじゃないし
普通、中のデータくらい出てきますよね」

「ちょっと触ってもいい？」

「いいですよ、
あ、でも手袋はつけて」


ジミンがビニール手袋と共に
ケータイを渡してくる。



じっとそのケータイを見つめる。

少し触っただけでガラスがポロポロと
こぼれ落ちるほどの割れ具合。

…中にガラスの破片でも落ちた？


充電器を差し込む部分を見つめる、と、





「………警部、」




挿入部分に微かに残る、黒い焦げ跡。




「…………これは、多分、」





"他殺"




そう呟いた途端、





この部屋にいる誰かが、






静かに笑う気配がした。

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