YouTuber Short Stories 3

# ともだち - はじめ ページ39

「私、好きなんだよね」


気心知れた数少ない友人の中の一人。
それは彼女にとっても同じなようで。
性別なんてどうだっていい。


…そう思っていたのに。


「…え？今なんて」
「え、熊好きなんだよね」
「…あ、ああ！可愛いよね」


最近の俺はちょっとおかしい。
友人である彼女の口から出てくる何気ない言葉一つ一つに反応してしまう。


「…はぁ、やだなぁ」
「どうしたの、なんか悩み？」
「えっ、声に出てた？」
「思いっきり」


恥ずかしくなって、平静を装いながらも顔を背ける。
こんな悩み他の人にも話せないけれど、彼女には特に話せない。


「ねえ、悩みがあるなら話して」
「何もないよ」
「嘘だ、はじめの嘘くらいわかるよ」
「それって、友達だからだよな」
「…？うん」
「だからだよ」
「どういうこと」
「だから…」


言葉を続けようとすると彼女がしゅんと下を向いた。


「私と友達なのが嫌なの…？」
「いや、ちが…」
「そうならそう言ってよ」


今にも泣きそうな彼女。肩が震えている。そんな肩をそっと手で包み込む。
この人を泣かせちゃいけない。


「違うよ、Aが友達だからこそ言えないんだ」
「…どういう意味？」
「Aの事が好き。でも泣いてるAを見るくらいなら友達でいた方がずっと…」
「ううん、友達やめよう」


その言葉は、始まりの合図。

# たりない - さぐわ→←#

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す