YouTuber Short Stories 3

# はぐ - かんた ページ3

上司に怒られた。
それも理不尽な事で。


上司のお気に入りのあの人が同じ事をしても上司は怒るだろうか、とかそんな事を言うくらいなら人に任せるな、とか。そんな考えしか浮かばない自分も嫌になる。


「はぁ…」
「嫌な事あったの？」
「…うん」
「俺はAが頑張ってたの知ってるよ」


優しい言葉をかけながら頭を撫でられるだけですうっと嫌な気持ちが消えていく。彼氏という存在に感謝が込み上げる。


「…俺も仕事してて理不尽だなって思う事はあるけどAも頑張ってるって思ったら頑張れる」


それに、と言って彼は俯いた私の顔を覗き込んだ。


「俺が頑張ったらAが元気にしてくれるしね」
「…何もしてないよ」
「ぎゅってしてくれるじゃん。今日は俺がしてあげる番だね」


そう言って力強く抱きしめられる。


「…あったかい」
「Aにこれやってもらうとすぐ元気になれるからさ。俺もお返しできたらいいなって」
「カンタ…」
「俺がいつでも褒めてあげるし慰めてあげる。これからずっとAの支えになりたいよ」
「プロポーズだよそれ」
「そう捉えてもらってもいいよ」


また彼の腕に力が込められる。
彼の細い腕からは想像できないような力の強さに安心して強張っていた身を彼に預けた。

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