妖札石探偵団 〜推理ファイル1〜

恐るべき魔人！ ページ43

えっ、怪水って…

「怪水って、海の水の海水？」

ほぼ100%皆が抱く事を、太郎が代弁して口に出す。

「違うと思う…『怪』しい『水』の事だと思う…」

モモカも、海水と結びつけてしまったらしい。なかなか良い返し(ツッコミ)だ。

「えーい、行くぞ！」

レンがこのなんとも言えない空気をどうにかしようと、無理やり第2ラウンドを開始する。

「『来たれ炎(ほむら)』！！」

炎札を振りかざし、マグマ的炎を怪雷にぶつける。
しかし、炎を取り込んで少し大きくなった。完全に失敗である。

「マジかよーっ！？！？」

レンがつい心の中をぶちまける。大体クールなレンにも、今起こった事態には理解を示せなかった。

「圧倒的不利！無理！」

太郎が韻を踏んで騒ぐ。
だが、ラッパー気取りで騒いでいる場合ではない。怪雷が太郎に向けて体当たり！探偵団達の何倍もある怪雷に体当たりなんてされたら、もれなく人生は終わる。

「死んだらどうしてくれる！」

太郎はギリギリ雷札を構えて雷ガードを張り、避雷針の要領で何とか助かっていた。だが命の危機に晒されたのは事実なのでとにかく叫ぶ。
だが怪物となった怪雷にはその台詞は耳に入らない。

「そうだな、お前が死んだら…あの雷野郎はお前の墓前に花か饅頭でも供えてくれるんじゃないか？」

レンが真顔で凄い事を言う。

「はぁ！？俺が死んだ前提で話を進めるな！あの体当たり、少しは心配しろって！」

「するまでもない。雷で防げば雷は威力相殺だから心配なんてするだけ無駄だ」

「何なんだコイツは！！」

一応2人は幼馴染みかつ大親友である。あしからず。

「ちょいちょい！ヤツら明らかにヤバい姿になってるんだから、そんなバカな会話は生還を遂げてからにしな」

咲がビシッと効果音がつく勢いで2人に人差し指を突きつける。

「人に指差すなって習わなかったのか？」

レンが揚げ足をとる。
咲が分かりやすく怒りのオーラに包まれる。

「よし、攻撃を取り込まれ体当たりされたぐらいで怖じ気づかず、反撃開始だ！」

「オー！」

レンの号令に威勢よく拳を突き上げた皆だが、すぐその考えが甘かった事を思い知る。
1人1人様々な攻撃を仕掛け放つも、全て怪雷と怪水に取り込まれてしまう。

「大人しくくらえって！『来たれ炎(ほむら)』！！」

だが無論大人しくくらってくれるならこんなに苦労はしない訳で、攻撃は効いているのか分からない。

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