妖札石探偵団 〜推理ファイル1〜

レンは苦労人！ ページ38

咲は、浮いたところで特に何かの解決にはならない事に気付くと、気合いで浮くのを中断。
そして、水札をびゅんびゅん振る。

「『来たれ水(すいりゅう)』！！」

物凄い激流が炎に向かうが、さすが副幹部、たやすくかわした。

「おのれ…！」

いやいや、1回攻撃かわされた程度で親を殺した相手に向けるレベルの睨みをきかすのはどうなのだ。
咲が唸っていると、水の鋭い一撃！滝と等しい量の水に吹っ飛ばされた。

「オーマイガー！！」

「本気で戦え！」

レンが怒鳴る。咲は管理局の壁まで吹っ飛ばされ頭を強打した。
のっそりと起き上がりながら怒鳴る。

「本気だわ！」

「本気で戦ってる奴は敵の攻撃くらって『オーマイガー』なんて言わねぇよ！」

「じゃあ、何て言うのさ？」

「いや、何も言わなくて良いと思う。受け身取るのに意識向けた方が良いと思う」

レンに冷めた目を向けられても咲はめげない。
攻撃再開だ。

「やめなさい！！」

太郎はそうわめきながら雷札を振り回している。
相手は雷である。
同属性なので勝負がつきにくいのだろう。いや、勝負云々の前に太郎が祈ったり助け求めたりで話にならない。

「やめなさいって言って、大人しくやめてくれる相手に見えるか？あいつらが」

「見えない！」

「……」

レンは苦労人である。

「属性相性を有利にしていこうぜ。咲は水だから燃え頭野郎と戦え。太郎は雷だから水色波女と。俺はパチパチ黄色頭とだな。モモは全体花畑女とだ。モモの妖力なら楽勝だろう」

的確に指示を出すレンだが、副幹部達のあだ名が雑、かつ失礼すぎる。
説明しなくて良いかもしれないが、

燃え頭野郎＝炎
水色波女＝水
パチパチ黄色頭＝雷
全体花畑女＝花

である。

「俺達がまともに貴様ら1人1人と戦うと思うなよ？」

炎が不敵に笑う。

「そっか！あいつら一応悪の組織か！」

「一応じゃなく完璧にだ」

太郎とレンの明らかに不要な会話。

「うおお！食らえや！」

咲は炎に向け水の弾丸を放つ。凄い速度と数である。

「遅い遅い！」

「なっ…！」

またも避けられる。
咲は「くそおのれこの野郎」と呟いている。

「恐ろしいなぁ〜…」

「大丈夫です。恐ろしいと思う間も無く黄泉の世界に送ってあげます」

綺麗な見た目と裏腹に、笑顔で恐ろしい発言をする水。
太郎はただただ目を見開く。

「モモちゃんには全く敵わないけど、美人なのに…！」

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