妖札石探偵団 〜推理ファイル1〜

ボスと副幹部！ ページ36

「君達が探しているシャドウカンパニーの社長(ボス)さ…フッフッフ…」

不気味な声が答えた。
RPGの魔王キャラに相応しい。

「何がおかしいんだよ、自分の声か？」

普通の状況なら他の3人も吹き出す冗談も、今は“普通の状況”では断じてない為クスリとも笑えない。

「フン、そんな呑気な事を言っていられるかな？」

「姿、見せなさいよ。社員と同じく臆病って訳？」

ボスと名乗る声に、臆せず啖呵を切るモモカ。

「いーや、今は見せられん。最後の対決の時に見せよう」

「炎石の事は、何も触れないのか？」

レンが吐き捨てるように言う。

「…今から触れる所だ。さぁ、返してもらおうか」

「やだよ。第一炎石はあんたらのじゃないし、くれるとでも思ってたの？あんたのバカ面を拝みたいよ」

恐れるという事を知らないらしい咲。
さっきは怯えてこそいたが、冷静さを取り戻したらしく、強気で挑発する。
だが、相手はそれに乗ってこない。

「フッ、まぁ好きなだけ言うがいい。おい、来るんだ！」

ボスが指を鳴らした、と思われる音が管理局に響くと、暗闇からヒュッ、と素早く4人出てきた。

「お〜、誰！」

「強そう！」

太郎と咲が、各々感想を述べる。

「こいつらは『副幹部』。幹部の次の地位だ」

「えっ？じゃあ、リートと同じじゃんか」

太郎がもう勝利したかのように言う。

「あのな、あの奴でもそこそこ苦戦して、札獣呼んでやっと圧勝だっただろ」

レンがため息をつく。

「ん？リート？あいつが？ハッハッハ、あいつが副幹部？そんな訳無かろう」

「え」

ボスの衝撃的発言に、4人の顔が一瞬固まる。

「じゃ、どこにいんの？地位」

「下から5番目、上からも5番目だ。妖石探索を少しやらせてもらうくらいの、低い地位だ」

「プッ…あいつ、自分で副幹部って…！」

太郎がボスの説明に吹き出す。

「あいつが副幹部…」

ボスもかなりウケているようである。

「そんな事より、俺らはこの副幹部とやらと何すれば良いんだ？戦うのか？それとも、フォークダンスでも一緒に踊るのか？」

な訳あるまい。レンの冗談はいつもの事である。

「戦うに決まっている。4対4。フェアじゃないか」

「マジか…俺はフォークダンスでも良かったんだけどなぁ…」

「アホかよ。奴らと愉快にフォークダンスを楽しんで、何の解決になる？」

ため息をつく太郎に、レンが呆れながらツッコむ。

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