妖札石探偵団 〜推理ファイル1〜

脅しと要求！ ページ29

「よく見てみろよ！水道からは水が出てるし、テーブルの上のお茶は湯気が立ってる！人がいる、もしくはついさっきまでいた証だ！」

レンが叫ぶ通り、テーブルの上のお茶からは湯気が立ち上り、水道からは水が滴り落ちている。
そして今、時計が置いてある棚がかすかにガタッと揺れた！
そして、人影も！

「よし、人がいる事確定だ！あいつを脅せば、どうにかなるかも」

レンが考える。

「でも、どうやって？ここから部屋の中には声なんて届かないわよ！ガラスもあるし！」

モモカが窓ガラスを指差した。

「ガラスがあるなら、割るまでだ！」

レンは落ちないように気を付けながら、指で魔法陣を描いた。そして、

「弓矢変化！」

と魔法陣を弓矢に変えて、矢を放った。
さすが妖術で生んだ矢。
ガラスを一発で割った。
中の人影は怯えているようだ。
矢は小屋の中の壁に突き刺さると、パッと蒸発し、消えていった。
人影がシャドウカンパニーの一員なら、妖術で作った矢と見抜くだろう。

「おーいっ」

太郎が大きく声を張り上げた。

「止ーめーてーっ」

「それを脅し、と認識する程知能が低いとは思わなかった」

レンが少し失望するように言う。
だが、勿論太郎の脅し…と言うより要求に人影が答える筈が無く、状況は全く変わらない。
レンは炎札で魔法陣を描き、

「『炎鳥(ファイアーバード)』！」

と魔法陣を札で押し出し札獣召喚。
炎鳥は窓から小屋に突入。
そして炎鳥は小屋の中で盛大に燃えた。
小屋の中は激しく燃え続ける。

「中の奴、まだ生きてるかな！？」

太郎が少し怯える。
必死に地獄のコーヒーカップに耐えて5分。
火は激しさを失わず燃え、コーヒーカップも止まらない。

「…そもそも、中の人燃やしちゃったら止める人いなくなるんじゃない？」

モモカの一言に皆沈黙。

「確かに…」

太郎が衝撃の表情でうつむく。

「OK、言われなくたって分かってるよ！『来たれ水(すいりゅう)』！」

咲が皆の視線に耐えかね、ややヤケになって水札から水を噴射した。
水流は勢いよく小屋の中へ。燃え盛る炎を消していく。
30秒もかからず、炎は消えた。

「大丈夫ー？」

太郎が大声を出す。

「ふーん、お前中の奴と同じ目にあって同じ状況でも『大丈夫ー！』って笑顔で言える訳？」

うまいこと太郎を言いくるめるレン。

「…えーい、もう飛び降りる！」

太郎が大地震と等しい程揺れるカップに足をかける。
発言はぶっとんでいるが、覚悟を決めた表情である。

「おいっ、お前死にたいのかよ！？」

レンが慌てて太郎の足を掴む。

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