【d!】夜烏の君は幹部になった【軍パロ】男主 (ページ47)

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46羽emside ページ47

給湯室で紅茶を淹れ戻ってくると、結那さんは夢中で本を読んでいた。
後の展開を早く知りたいと言っているようなキラキラした目で文字を追い、ページをめくっている。
そんな幼さの残る仕草とは裏腹に、昼下がりの柔らかい陽気に照らされた彼の姿はとても画になっていて、さながらミュシャの絵に入り込んだように美しかった。
目の前の絵画のような光景に暫く我を忘れて立ち尽くしていたことに気づくために、かなりの時間を要してしまった。
ふと我に返り、淹れてきた紅茶を彼の傍に置く。

yn『あ、ありがとうございます』
em「お邪魔してしまいましたね。すみません」
yn『いえ、お気になさらないでください』

紅茶を一口含み、また本の世界に入る。

ゆっくりと、しかし着実に時は過ぎて行ってしまった。
結那さんは壁の掛け時計を見ると、名残惜しそうに席を立った。

yn『もう行かなきゃ。エーミール様、今日はありがとうございました』
em「こちらこそ。時間があったらまた来てくださいね」
yn『はい』

小さな背中がさらに小さくなるまで見届けた後、彼の飲み干したティーカップを見つめた。
…嗚呼、時間は残酷ですね。楽しいと、続いてほしいと思うほど、一瞬で経ってしまうのですから。