3羽shpside ページ4
今日はあのくそ先輩と一緒に、担当した村へ視察に来た。
1年に1度、各村をまわっていく通常視察は何事も無く終わろうとしていた。
しかし、俺はある異変に気付いた。
毎年視察に来ると、人だかりから少し離れた家の影に隠れて、ひっそりと羨望の眼差しを向ける少年の姿が今年は無かった。
kn｢そういや今年、アイツ居らんなぁ｣
先輩も違和感を覚えたようだ。
人垣を巧みに避けながら、村を散策する。
すると、村はずれに人が倒れていた。
白い髪に白い肌の特徴的な容姿と、傍らに居る烏を見て、誰だか分からないなんて思わない。
俺は先輩を呼び、少年を示す。
shp｢先輩、アレ…｣
kn｢アレ…！アイツやんけぇ！｣
先輩は驚き、近くにいた村人に尋ねる。
mb｢あぁ、あの子ね。気の毒だけれど、彼のお母さんが難しい方で、下手に引き取れないんですよ｣
kn｢何て？アイツのオカンが？｣
mb｢ハイ。…お会いになりますか？｣
村人が尋ねると、先輩は｢あぁ｣と即答した。
家に着くと、母親が出迎える。
母｢どうされました？コネシマ様、ショッピ様｣
彼女は俺が"にいさん"と呼び慕う男を彷彿とさせるような薄っぺらい笑みを貼り付け、媚びた声で問う。
shp｢いや、大した事やないんですけど、息子さんについて伺いたくて…｣
先程から不機嫌そうに顔を顰めている先輩に代わって用件を言うと、母親の笑顔が歪んだ。
母｢あぁ、その事でしたか…。まぁアレは不出来な息子ですよ。…｣
と、つらつらと自分の息子を貶す言葉を並べる目の前の女。
ちらりと先輩の方を横目で見ると、かなり苛立っているようだった。
そんな先輩を気にも留めず、尚も続ける母親。
母｢ある頃からカラスなんて連れるようになって…不気味ったらないですよ。そうは思いませんか？｣
Kn｢…だから捨てた、と？｣
母｢まぁ中等学校までは通わせましたけどね？…｣
先輩は苛立つ様子を隠しもせずまた問う。
すると母親は質の悪い油で滑らかになった舌で更にまくし立てる。
聞き流している言い訳を何とか解釈すると、彼女は世間体を気にするタイプらしい。
母親の話がまだ終わらないうちに、突然先輩が立ち上がった。
shp｢先輩…？｣
母｢どうされました？コネシマ様…？｣
母親は呆気に取られている。
先輩の方を見ると、水色の瞳が光を放っていた。…先輩の能力、ハートレスキングが発動していた。
kn｢アンタの言い分、ようけわかったわ。…行くでショッピ君｣
shp｢…ッス｣
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作者名：夜 | 作成日時：2020年3月21日 20時
