だから私は馬鹿な女のフリをする

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突然だが人は生まれ持って自分の平和の塔を持っている
平和を幸せと置き換えてもいいかもしれない

その平和の党は人それぞれ大きさも頑丈さも違うし敷地は持っていても建設する時期だって違う


1つピースを抜き取ったらその塔は基本崩れる
平和とはそういうもの

塔の頑丈さも何で作られているのかによって違う



彼女の塔はお世辞にも大きいとは言えなかった
だって建て始めたのがとても遅かったから

幼い頃とっても小さな自分だけの塔を建てそれ以来眠っていたから
また建てる時には他の人は何度も失敗してまた建ててを繰り返しもう大人になっていた

でも彼女は小さいままだった


それでも彼女は出会えた大切な人と一生懸命自分の塔を作った

その塔はその大切な人とその人との思い出でできていた



その小さな平和もまた誰かによって崩される


大切な人というピースを取られたのだ

たった1人の大切な人と作りあげた大切な人が詰まった塔


崩れるのは一瞬だった



彼女は崩れた塔の直し方を知らない
建て方を教えてくれた人はもう居ない

彼女は縋るように崩れ落ちたピースをかき集め思い出を守るかのように腕に抱えて蹲った

まるで親を取られた幼子のように彼女は泣いた


1人じゃ塔も建てられないわからない

でも彼女は新しい塔を建てる気はサラサラなかった
彼女はただ彼さえいれば良かった
平和を崩された憎しみより彼を知らない誰かに唐突に奪われたことへの憎しみが積もっていった



そして見つけた


大切な人を奪った憎き人


彼女はこう言った



彼は私の大切な人を奪ったんだから私も奪っていいよね??大切なピース



彼の平和の塔の全貌は誰にもわからない


でも何だか大きくて脆いものを沢山積み上げているような気がした

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