花束で殴る

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今日は電話で花束の予約を受けた
夕方に取りに行くのでそれまでにと言われた

どのような花束にするかと聞くと
雰囲気だけのオーダーではなく切ない花言葉の花ばかり並べられた細かいオーダーだった



送り主の切実な愛とどこか謝罪をするかのような切ない気持ちがひしひしと伝わってくる




普段から送り主の気持ちになりながら花束を作ることを心がけている私は
作っているうちに何だか切ない気持ちになってきた

この人は相手のことをこれ程までに愛しているのか
相手に伝わればいいなと思いを馳せた





この花束は切ない花言葉ばかりだが
色合いなどが考えられていないわけでもなくとても綺麗な色合いで
切ない花言葉の花を詰め込んだようには見えないほど華やかな花束に出来上がった



依頼主の“ｶｻﾞﾐ”さんは本当にセンスが良いなと思いつつも
どんな気持ちでこの花達を選んでどんな気持ちでどんな人にこの花束を渡すのだろうか

切なく切実な想いのこもった花束


私が貰ったらどう思うのだろう
少し胸が痛くなるのを感じた







そして1つ疑問がある




切ない花言葉の中で1輪だけ熱い花言葉がある







かつて降谷零が私に渡したもの
そうブーゲンビリアである


｢あなたしか見えない｣



確かにトータルでは愛を伝える花束だがこの花だけ花言葉が少し浮いている

そこではっとした


ブーゲンビリアにはもう1つ花言葉がある
そうそれは｢薄情｣


“ｶｻﾞﾐ”さんがどんな気持ちでこの花を入れたのかわからないが少しゾッとした





彼に渡されたブーゲンビリア

あの時は確かに｢あなたしか見えない｣という意だった


懐かしい記憶の中のブーゲンビリアが私を蔑んでいるかのように脳裏に浮かんだ





ブーゲンビリアは君によく似合うと言った彼はこの薄情という花言葉を知っていたのだろうか


そんなのはどうでもいい






でも本当よく私に似合ってる




私は自身を鼻で笑った

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