花束で殴る

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そして、私が彼を嫌ったその年の秋
今の彼と出会った



彼を嫌って諦めて思えばすぐだったかもしれない

多分彼を待っていた4年間でも出会いは沢山落ちていたのだろう

私が彼を待つことに夢中で気付かず拾わなかっただけで


だからと言って特に何も無いが
忘れようと思う機会に早く出会えていたら彼を忘れて
今頃目の前に彼が現れても怒りを覚えることはなかっただろう






今の彼は君とは違って
私を置いていったりしない


君みたいに完璧じゃないし
かっこいいけどどちらかというと守りたくなるような愛らしい感じ


そりゃあ、君みたいに逞しい体はしていないし誰もが振り向くイケメンではない


優しくてでもどこか抜けてて
私が居なきゃダメなんだなって思わされて

君にみたいに熟れてない




そう、何処も彼処も君とは全然違かった




出会った時も彼は店先でぶつかってきた

彼は転んだ私の前に座り込んで大丈夫ですかと焦って涙ぐんでいた
顔を上げて目を合わせると顔を真っ赤にして本当にごめんなさいと何度も言った


ずっと落ち着かずわたわたしている彼に私はついふふっと声を出して笑ってしまった





でも君ならぶつかった時に倒れないよう私を抱き留めてくれて済まないと言ってスマートにお詫びを約束するのだろう

そして、また後日会う約束と取り付ける巧妙な野郎だ

私はしてやられたと苦笑するのだろう




付き合う前だって


彼は毎週何度も理由をつけては私の店に来て花を買った

そう私が不安になるほどに沢山の花を買ってその度花の事を私の事を沢山聞いてきた

慣れない世間話をして話が上手く続くと嬉しそうな顔をして続かないと肩を落として帰っていく

とてもわかりやすい人だ



でも君はちょっと思わせぶりな事を言いつつも本心は絶対悟らせず
私が本心を聞くとさぁ?どうだろう??と艶めかしく笑う




君はそんなどこまでも熟れた人だった

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