05 ページ5
.
それから十分後に戻って来た大ちゃん。
その顔はなんだかやつれている気がしなくもない。
「 大ちゃんおかえり 」
「 ただいま〜...って！おい山田！俺の唐揚げ食っただろっ！」
しれっとした顔で弁当を食べていると大ちゃんが小型犬の様にキャンキャンと吠えている。
大ちゃんはムスッとした顔で俺の隣に腰を下ろせば仕返しとばかりに俺の弁当の中から卵焼きをつまんだ。
「 おい、てめえ返せ！」
「 あー、やまだの卵焼きをうめえ！！」
俺の卵焼きを口の中に放り込めば幸せそうに食べるからまあ許してやるか、なんて考えてしまう俺もだいぶ大ちゃんに甘い。
一足先に食べ終わった俺は弁当箱を片付け、ケータイを弄り出す。
「 なあ山田〜、伊野ちゃんに何言われたの 」
...絶対に聞かれると思ってた。
まあ教えてなんかやらねえけど。
「 あ？なんも言われてねえよ 」
「 嘘だ！俺にも教えろ！」
何回はぐらかしてもしつこく聞いてくるもんだから これ以上聞いてきたら唐揚げもう一個食うけど？って脅してやればすんなりと大人しくなった。
そんなに唐揚げ取られたくねえとかほんとにガキかよ、、
「 つうかさ、大ちゃんこそイノオケイとどういう関係なんだよ 」
明らかにシュンとしてしまった大ちゃんに一番気になっていたことを聞く。
ビクッと大袈裟に肩を揺らして明らかに動揺しているようだ。
「 伊野ちゃんは高校に入ってから仲良くなった友達 」
「 ふーん...なんで俺は知らないわけ？」
何気ない一言。
本当にただただ気になったことを聞いただけ。
それを聞いた瞬間にユラリ、大きく大ちゃんの瞳の奥が揺れた。
「 っ...、そんなの、俺が聞きてえよ... 」
俺の視線から逃げる様に俯いてしまった大ちゃんから絞り出すように紡がれた言葉は、小さ過ぎて何を言っていたのか分からなかった。
何故だかその事にはもう触れてはいけない気がしてそれ以上その事について聞くことはなかった。
「 ...でも、仲良くなれるんだったら山田も伊野ちゃんと仲良くしてやってよ、」
嗚呼、まただ...
大ちゃんは悲しそうな表情を浮かべた。
「 伊野ちゃんてさ、友達少ないから。俺と、伊野ちゃんと同じクラスの高木って奴しかいないから 」
そんなに交友関係が狭いのか。
その中に俺が混ざっていっても許されるのか。
未だによく分からない大ちゃんとの関係にまた更にモヤモヤが増えた。
.
文字化け防止の為 高木さんにします！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 185人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かすたーどばにら | 作成日時：2018年8月22日 17時
