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「伊野尾ちゃん？」
「ぁ、え、ごめっ…あーん、」
心配になって声をかければ華奢な肩がビクッと大袈裟に揺れて。
今にも消えてしまいそうな、儚い顔で伊野尾ちゃんは微笑んで俺にケーキを食べさせてくれる。
そんな伊野尾ちゃんの表情を見てしまえば、甘いはずのケーキから味を感じることが出来なかった。
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「じゃーね！バイバイやまだ〜」
あれから時間が経てば、伊野尾ちゃんの表情も元通りになっていった。
でもやっぱり心配で。
俺とは反対方向へ歩みを進めようとする彼の腕を掴んで引き止める。
「待って、伊野尾ちゃん」
「なんだよ、俺とバイバイすんのが悲しいのか〜？」
ふざけた口調で俺に掴まれてるのとは反対の手で俺の頭を撫でてくる。
その手も掴んで伊野尾ちゃんを見つめる。
もういつもみたいに曖昧なまま逃がしたりしない。
「今日どうしたの」
「ほぇ？何が？」
またとぼけて誤魔化して。
「ケーキの時とかずっと変だったじゃん。元気ないし」
「気のせいだよ、てか俺今から用事あんの！また明日会えるんだからそんな寂しがるなって〜！」
今までにないくらいしっかりとした力で俺の手を振り払って。
笑顔を見せて。
また俺から逃げていってしまうんだ。
そういう時の伊野尾ちゃんはいつも苦しそうに笑ってる。
去っていく伊野尾ちゃんの後ろ姿をぼーっと見つめることしか出来なくて。
そこに鳴り響く携帯の着信音。
「はい、もしもし」
『あ、涼介？今から家来れない？』
着信相手を確認せずに出るとかけてきたのは彼女で。
はあ、今は伊野尾ちゃんの事で頭いっぱいなんだけど。
「いいよ、丁度今近くにいるし。今から行くわ。」
「うん、今日夜中まで親帰ってこないしゆっくりできるよ」
ゆっくりできるから、なんて誘いはもう1つしか思い浮かばなくて。
今日そんな気分じゃねえのにな。
でも身体は正直だったようで、俺はこの後彼女の事を求めてしまった。
そんな時でも俺の頭の中を独占していたのは伊野尾ちゃんだった。
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やっぱり山田さんと女の子の絡みは無理です！ってことで割愛します(笑)
続く (更新停止中)
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作者名：かすたーどばにら | 作成日時：2018年8月22日 17時
