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side YM
街が寝静まる中、一人で小さい頃によく遊んでいた公園に向かう。
辺りは時間的にも静まり返っていて、なんだか寂しさを感じる。
まだ春先で空気が冷えていて上着を羽織ってきて良かったなと自分の腕を抱きながら思う。
俺以外には誰一人いないその空間は時の流れもゆっくりに感じる。
昼間は忙しなく人が行き来する道も今はネコすら通らない。
寧ろ、世界には俺だけしか居なくなってしまったのではないかと馬鹿げたことを考えてしまう。
急に星が見たくなった。ただそれだけの事。
家の窓からだって星ぐらいは見えるのにそれをせずにここまで歩いて来た俺は本物の馬鹿。
彼女と上手くいってなくてムシャクシャしていたんだ。
目当ての星を見るために上を向けば空一面に散りばめられた星たちが己の役割を果たす様にキラキラと輝いている。
「 すげえ...星なんて久々に見た、」
圧巻の星空を食い入るように見つめていると肩に何かが触れ、ビクッと肩が揺れる。
その何かを確かめようと自分の肩に視線を向ければ俺の肩には誰かの手が乗っていて。
その手を辿るとそこに居たのは綺麗な人。
「 おにーさんも星が好きなの？」
フワリと花が綻ぶ様に微笑みながら話しかけてくるその姿に思わず見とれてしまう。
薄暗い中でも分かる真っ白な肌にスラリと伸びた四肢、顔は言うまでもないくらい綺麗で中性的。
でも声を聞く限りは甘く少し高めだけどこの人は“彼”のようだ。
「 急に星が見たくなったんだよ 」
「 そっか、俺も星が好きだよ 」
...ん？この人ちょっと日本語変じゃねえか？
俺もって俺は好きって言ってねえんだけど。
気になってチラリと横に並んで立つ彼の横顔を見れば儚げなその雰囲気に息を呑む。
単純に綺麗だと思った。
それからはお互いに多少の言葉を交わしながら空に瞬く星たちを眺めていた。
たまに気になって隣に立つ彼の横顔も盗み見ていたけど。
「 じゃあ、そろそろ俺は帰るわ 」
「 おう、またいつか一緒に星見ような 」
またいつか、そんな日は来るのだろうか。
でもそのいつかが訪れたら良いのに、と思ってしまったのは俺だけの秘密。
「 じゃあな〜 」
俺が立ち去ろうとすれば後ろから聞こえる緩い声に振り返り、ヒラヒラとこちらに手を振っている彼に手を振り返した。
「 お兄さんの名前教えてよ 」
「 俺はイノオだよ、イノオケイ 」
「 そっか、覚えとくわ」
これが不思議な君との出会い
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作者名：かすたーどばにら | 作成日時：2018年8月22日 17時
