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side YM
撮影中も待機場所にいる伊野尾ちゃんに何度も目を奪われた。
メンバーだってみんな綺麗な顔をしているのにその中でも儚げな雰囲気を纏い、綺麗という言葉で表すのがピッタリな伊野尾ちゃん。
でも今日はいつもとは違う彼の様子に何度か声を掛けようと思った。
でもその度に伸ばしかけた手も出しかけた声も引っ込めてしまった。
俺に声を掛けられたら怖がるだろな...
怯えたように俺を見る伊野尾ちゃんをもう見たくはない、言動とは裏腹に臆病過ぎる自分を心の中で嘲笑う。
そんな事をグルグルと考えてる中でも撮影は順調に進んでいき、隣でポーズを決めるゆうとも今日は調子が良さそうだ。
ふと、なにやらちねんが伊野尾ちゃんに話しかけているのが目に付いた。
やっぱり今も伊野尾ちゃんはぐでっとテーブルに突っ伏していて体調が優れていないようだ。
伊野尾ちゃんを好きだと気付いたからというのもあれだけど彼のことを嫌いだと言っていた時代もメンバー全員の様子を見ていたから体調の変化には敏感だ。
過保護になり過ぎてるとかじゃなくて明らかなものがある。
心配になってソワソワしていると丁度カメラマンにオーケーをもらって急いで伊野尾ちゃんの方へ向かう。
「 おい、伊野尾。体調悪いのか?」
そこには薮ちゃんがいた。
薮ちゃんが伊野尾ちゃんの額に手を当てて熱を計っている。
薮ちゃんが、恋人が、伊野尾ちゃんの体調不良に気付かねえはずなんてないのに。
またしても薮ちゃんに先を越されてしまったことになんとも言えない気持ちになる。
グッと唇を噛み締め近付きかけていた距離を縮めることなくその場に立ち止まる。
さっきよりは近いけど伊野尾ちゃんからは遠い距離。
その時、薮ちゃんに帰れと言われて素直に立ち上がった伊野尾ちゃんの身体がフラリと傾いた。
「 っ、伊野尾ちゃんっ...!」
咄嗟に伊野尾ちゃんの元へ止めてた脚を伸ばし彼の華奢な身体を受け止める。
ポスンと俺の腕の中に収まる彼の身体はビックリするぐらい熱くなってて、朝より悪化してんじゃねえの?
閉じられてしまった瞼は開くことがない。
必死になり過ぎてて気付かなかったけど俺と伊野尾ちゃんを囲むメンバーがざわめいている。
今までなら俺が一番に受け止めるなんてこと無かったから驚いてるんだろう。
ちねんの方を見れば安堵の溜め息を零していた。
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かすたーどばにら(プロフ) - 翠さん» コメントありがとうございます!まさか大好きな作者様の翠さんからコメントもらえるなんて思ってもみなかったのでとても嬉しいです...!はやくすれ違ってるふたりをくっつけたくて日々頑張ってます(笑)更新頑張ります!! (2018年8月14日 0時) (レス) id: 830b7600a3 (このIDを非表示/違反報告)
翠(プロフ) - コメント失礼します!!!とても好きです!このすれ違い具合がたまらなく愛おしいです...!これからも更新楽しみにしてます!! (2018年8月13日 14時) (レス) id: a6b1b35491 (このIDを非表示/違反報告)
かすたーどばにら(プロフ) - ひとみさん» そう言っていただけてめちゃくちゃ嬉しいです!なるべくたくさん更新できるように頑張りますね!これからも頑張るので応援お願いします!(笑) (2018年8月11日 10時) (レス) id: 830b7600a3 (このIDを非表示/違反報告)
かすたーどばにら(プロフ) - Vさん» 返信遅くなってしまってすみません!いつも読んでくださりありがとうございます!私も書いてて楽しいです(笑)完結できるように頑張りますね! (2018年8月11日 9時) (レス) id: 830b7600a3 (このIDを非表示/違反報告)
ひとみ(プロフ) - この作品大好きで、更新を楽しみにしてます!! 続きが早く読みたくってウズウズしてます(笑) (2018年8月10日 8時) (レス) id: c0bd1ad421 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かすたーどばにら | 作成日時:2018年3月16日 22時