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「 ...は?」
やっと出たのはこの一文字だけ。
随分マヌケな顔をしているはず。
山田に掴まれたままの腕にはギリギリと力が込められて痛さが増していく。
「 付き合ってんのって聞いてんじゃん 」
「 ...それ山田に教える必要あんの?」
付き合っているとしたら許されるのか。
山田は男同士の交際を認めるのか。
なぜこんなことを聞いてくるのか。
そんな疑問からわざと挑発的な眼差しで山田を真っ直ぐ見つめ返しながら煽る様なことを言う。
...俺と薮が付き合っていて欲しいのか、
そんな山田の願望も隠された言葉だとしたらすごく悔しい...
確かに山田は俺のことを嫌いかもしれない。
でも、男同士を認めての言葉だとしたら俺が今まで山田への想いを隠してきた意味が無くなってしまう。
しばらく黙ってた山田が俺の腕を離し、俺の襟元に掴みかかってくる。
グッと力を込められ力の強い山田相手ではいくら身長差があっても苦しい。
なんで、
「 っ...アンタはアイドルなんだよ!それなのにあんな人通りの多いとこで抱き合ってていいと思ってんのかよ!もし誰かに見られてたらどうすんだよっ、ホントにテキトーなのもいい加減にしろ!アイドルとしての意識が低過ぎんだよ..っ、」
一気にまくし立てられいつもよりも俺への嫌悪感を包み隠さず、むしろ露にした山田に恐怖心を覚えた。
それより何より最後に言われた言葉が何よりも重く俺の心にのしかかる。
嗚呼、そんなにも山田は俺の事が嫌いだったんだね。
分かってるつもりでいたのに所詮は“つもり”。
改めて言われるとこんなにキツいだなんて思っても見なかった。
山田が嫌々でも家に泊めてくれたのが嬉しくて浮かれてたから?
なにがダメだったんだろう。
ジワリと涙が浮かび熱くなる目頭を隠す様に山田から顔を背けた。
「 ごめんなさい、もうしないから。グループのために怒ってくれてありがとう。俺が全部悪いから薮には怒らないでね?」
思ったよりも声が震えなかったことに安心した。
俺の首元を掴んでいた山田の手から力が抜けたことで苦しみもなくなり顔を上げた。
サッと山田から素早く離れる。
泣き顔なんて見せない様に、無理矢理笑顔を貼り付ければそのままこちらを見つめる山田にヒラヒラと手を振りドアを開けてその場を後にした。
扉の閉まる音と共に先程の山田の言葉が頭の中に響いた。
“だから俺はお前がこの世で一番嫌いなんだよ!!”
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かすたーどばにら(プロフ) - 翠さん» コメントありがとうございます!まさか大好きな作者様の翠さんからコメントもらえるなんて思ってもみなかったのでとても嬉しいです...!はやくすれ違ってるふたりをくっつけたくて日々頑張ってます(笑)更新頑張ります!! (2018年8月14日 0時) (レス) id: 830b7600a3 (このIDを非表示/違反報告)
翠(プロフ) - コメント失礼します!!!とても好きです!このすれ違い具合がたまらなく愛おしいです...!これからも更新楽しみにしてます!! (2018年8月13日 14時) (レス) id: a6b1b35491 (このIDを非表示/違反報告)
かすたーどばにら(プロフ) - ひとみさん» そう言っていただけてめちゃくちゃ嬉しいです!なるべくたくさん更新できるように頑張りますね!これからも頑張るので応援お願いします!(笑) (2018年8月11日 10時) (レス) id: 830b7600a3 (このIDを非表示/違反報告)
かすたーどばにら(プロフ) - Vさん» 返信遅くなってしまってすみません!いつも読んでくださりありがとうございます!私も書いてて楽しいです(笑)完結できるように頑張りますね! (2018年8月11日 9時) (レス) id: 830b7600a3 (このIDを非表示/違反報告)
ひとみ(プロフ) - この作品大好きで、更新を楽しみにしてます!! 続きが早く読みたくってウズウズしてます(笑) (2018年8月10日 8時) (レス) id: c0bd1ad421 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かすたーどばにら | 作成日時:2018年3月16日 22時