Bloody Moon 【 YM × IN 】 (ページ5)

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「こんばんは、君を迎えに来たんだ」

彼は絵本の中の王子様の様に跪いた。
布団をぎゅっと握りしめていた俺の手をそっと掴んだと思えば、俺の手にちゅっと口付けた。

「ひぇ...ぉ、オオカミ男...？」

俺を見つめて甘く囁く彼の頭には、銀色に輝くモフモフとしたケモ耳が生えていた。

迎えに来たってなんで、
俺にオオカミ男の知り合いなんていないし、ましてや友達すらいない。
俺の近くに来て顔を上げた事によって見えるようになった彼の顔はとても綺麗で。
こんな人、一回会った事があったら忘れないのに。

「そうだよ、俺はオオカミ男。君は吸血鬼のケイでしょ？」

「え、なんで俺の事...」

「それはヒミツだよ。さあ、俺のとこにおいで？」

握られたままだった手をグイッと引かれて、一気に彼との距離が詰まる。
わっ...綺麗な顔...
スっと引き込まれそうになる魅力的な瞳に見つめられて。
たまらなくなって視線を逸らす。

「ぁの...ごめんなさい、アナタとは一緒に居れないよ...」

まだ彼のことなんて何も知らないし、俺と一緒に居たら彼が危ない。
今でこそ制御できる様になったこの身体だけど、たまに発作も起こしてしまう。
そしたら彼の事を急に襲ってしまうかもしれない。

嗚呼、悲しいな...
俺はいつまで経っても一人ぼっち。

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