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18−隆二 ページ18

「臣さん?…大丈夫ですか?」

「あー、ごめん。ちょっと考え事」



すぐ隣から聞こえる会話。
臣とは何度も合コンの席を同じくしてきたけれど
こんなのは初めてだ。


臣が、目の前の女の子に集中していない。


気に入らない女の子なら
何かと予定を作って帰ることはあったけど

ここにいるのに、上の空、なんて。


それもこれも
健ちゃんがAを外に連れ出してからだ。


いや、連れ出したのはAのほう?
まぁどっちでもいいけど。



「りゅうじさぁん、わたしー、はじめてみたときからりゅうじさんのことすてきだなぁておもってたんですよう」

おっと、人のこと気にしてる場合じゃなかった。
俺のとなりには泥酔目前のナナちゃん。


俺でもわかる。

この子、俺のこと好きなんだ。



「へへ、ありがと」

「りゅうじさんは彼女とかいるんですか?」



ナナちゃんは可愛い。
好意を寄せられるのに悪い気はしない。
彼女は今はいない。


だけど


「彼女はいないけど、好きな子はいるかな」

「すきな子、ですか」


まぁ、片想いなんだけどね。
今ところ、言うつもりもないし。


「それってわたしじゃないですよねぇー!わたしだったらいいけど……う゛」


…え?



「大丈夫?」

「ぎもぢわるぃ」

「ナナ!…すみません、私トイレ連れていきます!」


臣と話しながら心配そうにこっちを見ていたリホちゃんが
ヘロヘロのナナちゃんをトイレに連れていく。


いきなり人が減って静かになってしまった。

部屋には、俺と臣のふたり。




「……健ちゃん、遅くない?」


臣の第一声はそれ。

わかりやすいな
やっぱり、気になってるんだ。



「様子見てくる?」

「ん…」


少し考え込む臣。
そして俺を見て、言った。



「隆二、行ってきて」

「え」

「…俺が行ってもあいつ嫌な顔しそうだし、邪魔すんなって。
隆二なら大丈夫だと思うから」



大丈夫って、そんな根拠なにもないと思うけど。

いつも自信のある臣が珍しく弱気なのは
やっぱりAのことが気になってるからじゃないの?





「いいよ、行ってくる」




Aが外に行ったわけは
止まらない想いの消化。

だけど健ちゃんは
きっと
Aの気持ちには答えられないから。



だから
臣がいいなら
俺は遠慮なく行くよ。



俺がAの心の
救世主になってもいいのなら。


「A!」


外に行くと
少し泣きそうな顔のA。


ほら、やっぱり。

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じゅん(プロフ) - お久しぶりです。更新ありがとうございます! (2021年7月11日 16時) (レス) id: c029804656 (このIDを非表示/違反報告)
ちはる(プロフ) - もう、お話の続き見れないですか?(*´ω`*)わたし、NEEさんの小説も東京も大好きです(*´∀`) (2020年5月13日 10時) (レス) id: 48e30b0c83 (このIDを非表示/違反報告)
amiryu(プロフ) - NEEさんだー ( ̄□ ̄;)!!!・・好きです(///∇///) (2019年8月25日 0時) (レス) id: 536b1e31eb (このIDを非表示/違反報告)
ぽちこ(プロフ) - NEEさん、お帰りなさい!!またツクールに来るのが楽しみになりました★ (2019年8月24日 20時) (レス) id: 1e1bf63da6 (このIDを非表示/違反報告)
梨香(プロフ) - いいですっ!こんな同僚2人私も欲しいです((笑))。しかも私が好きな臣ちゃん。そしてカタオモイには健ちゃん…たまりません!これからも楽しみにしています! (2019年8月19日 20時) (レス) id: 64c500100f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:NEE | 作成日時:2019年8月18日 1時

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