LOVE FLAG

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「おー、意外と今日は涼しいな」


思い切ったお願いをして
外に出てきた私と健二郎さん。


連れ出したのは私なのに
いざ二人になると緊張でいっぱいになる。

せっかく入ったお酒もすぐにさめちゃいそうだ。



「大丈夫かー？お酒。
俺も強くないからわかるけど、無理はあかんで？」


前を歩いていた健二郎さんが振り向き、私に笑いかける。

繋がれた手は途中でほどかれた。
それを繋ぎ直す勇気など私にはない。


「大丈夫、です！
ごめんなさい、外まで連れ出してしまって」


謝る私に、ええよ、と健二郎さんが笑う。


「あれやろ？後輩の女の子二人にチャンス作ったるためやろ？
俺ら抜けたら2対2で何かええ雰囲気なりそうやったもんな？
わかってるわかってる。
俺も人数合わせに臣ちゃんに誘ってもろただけやと思ってるし」


寧ろ私の本命は健二郎さんなんだけど

今更告白の勇気など消沈してしまった私には
その解釈は都合が良くて、
はい、と思わず肯定の返事をしてしまう。





「こういうの久しぶりやで楽しいわ！
さすがにほんまもんの合コンとかは行けへんからな」


「彼女さん、いらっしゃいますもんね」



言いたくはなかった。
だけど話の流れというものがある。


私の気持ちなど知らず
健二郎さんは、そやねん、と言って笑う。




「付き合ってから１年半くらいやから、そんくらい合コン行ってへんなぁ」



１年半。

もし私が、健二郎さんと出会うのがあと半年早ければ
彼の隣にいることができたんだろうか？



「彼女さんのこと、大切にしてるんですね？」


こんなこと、聞きたいわけじゃない。

だけど、健二郎さんは私の想いなんて知らないから。



「せやなぁ。
まぁなんだかんだ、一緒におって楽しいコやから」



幸せな恋人同士の話。

それにより、誰かが傷付くなんて
誰も思いはしないだろう。


だから、健二郎さんは悪くない。

悪いのは、身の程知らずの、私だ。



「い、いいなー！私も健二郎さんみたいに、彼氏に一緒にいて楽しいって思われるコになりたいな」


これが精一杯。
告白なんてとてもじゃない。

独り言のように言った言葉は
聞き流してくれて良かったのに



「なれる」


健二郎さんが、私をまっすぐに見つめて、言う。




「Aちゃん、一緒におって楽しいから
ちゃんと彼氏からもそう思われるよ」




健二郎さん

だめだよ




私の恋は叶わないのに



そんなこと

言わないで。

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