PEERLESS BLUE

４６ 宮廷画家 ページ46

”くせ者”を探すと言って
ここを離れたナオキ。

この場に残されたのは二人。

さて
答え合わせをしますか、王子？

　



　
「今日も舞踏会は盛況のようだね」

「…ナオトさん、さっきはどうして」

　

おっと、早速だね。
まぁ無理もないか。

気になってしょうがないんだろ？



あの“魔術師“のお嬢ちゃんが
無事なのか、否か。

いいだろう、教えてやる。



　
「おとぎ話の続きをしてやろうか、タカノリ王子？

染物師の女の子はその忌まわしき手先を隠してお城に忍び込みました。
本来は避けられるべき人種であるはずなのに

この国の王子は、その女の子に興味を持ちました」
　
「…！！」



俺の“おとぎ話“に目を見開き反応する
素直な王子。

うん、やっぱりね、
俺の一連の予測はどうやら当たっているようだ。


お嬢ちゃんを呼んだのは、タカノリ王子。
　


　


「しかし、舞台はお城。
当然平民がいられるわけもなく、城の屈強な兵士たちに捕まっ」
「捕まったんですか！？」



タカノリー！食いぎみすぎる！
おいおい、落ち着けって。
らしくないなぁ。

人の話は最後まで聞くのがマナーだろ？

　

「捕ま…りそうになったところに
イケメンで優しくて才能溢れる宮廷画家が現れ、完璧な段取りで彼女を無事逃がすことに成功しましたとさ。

めでたしめでたし」




　
俺をスーパーヒーローに仕立てあげたところで
はぁーっとため息をついたのはタカノリ。

なにため息ついてんだよ。
　
ちょっと盛ったけど
俺の機転でおおごとにならなかったことに
感謝してもらわないとな。


まぁ、今ので王子の懸念は
なくなったってことで。
　



「貸し１な、タカノリ」

「…わかりました。何でもおっしゃってください」

　
　

よし、この貸しはかなーり大事に使わせてもらうか。
　

まぁ、でも。
　



「おとぎ話の続きはハッピーエンドとは限らない。
王子はもう、庶民とこっそり会おうとか考えないことだね。
それがお互いの平穏のため」


　
面白い事件は大歓迎。
でも俺は画家だから、興味があるのは
俺のクリエイティブ魂を擽るような何か。

　

「そう、ですね」


　
うん

その顔だよ、タカノリ。

　



今まで見たことのないその表情
是非ともキャンバスに納めたい。

　

あー、創作意欲湧いてきた！

　
　



次は身分違いの恋っていうテーマもいいね。

もちろん

　
その物語の結末は


"悲恋"だけど。

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