PEERLESS BLUE

４１ 宮廷画家 ページ41

"脱いで"って言葉に反応したのか
目の前のお嬢ちゃんは頬を赤くして戸惑う。

やっぱりウブでかわいい。



今日は舞踏会。
宮廷に縁のある俺も一応ご招待を受けてきたわけだけど
勿論ダンスフロアに留まるわけもなく
フラッと散歩をしていたついさっき。


普通にあり得ない光景を発見。

豪華なドレスをきたレディが庭の片隅に座り込んでいる。


……ワケ有り。
俺のセンサーが働くと同時に
好奇心が顔を出す。

こんなの、ほっとけないでしょ。



そんなこんなで
挙動不審な彼女の様子から俺が推測したこと。

このコはどこかの国の姫ではない
それどころか、その手は"魔術師"を表しており

そしてその宮廷に似つかわしくない職業を
偶然にもつい最近耳にしたことを思い出す。




この国の聡明な第二王子。
少し前、分厚い本を持っていて
茶化したんだった、俺。

大方ケンジローあたりが呼んだのだろう。
こんな無茶をするのはあいつくらいしかいないから。



わけもわからず連れてこられたんだろうな。

そう思うと巻き込まれただけのこのお嬢ちゃんが
ナオキあたりに見つかってしまって処分を下されてしまうかもと考えると
ちょっとだけ可哀想かなって思ったんだよね。

……まぁ、ここまで単なる俺の想像なんだけど
多分、大体合ってると思うし。




「ぬ、ぬ、脱げって」

「その格好で逃げるとめっちゃくちゃ目立つよ」

「……」



おぉ、困ってる、困ってる。

かわいいな
あんまりいじめるとかわいそうか。


そう思って俺は
上に羽織っていたガウンを彼女の肩にかけてやった。




「これに着替えな」

「えっ……」

「ほら、手伝ってやるから」




もたもたしてたらいつ衛兵に見つかるかわからない。

乗り掛かった船だ
このままこのお嬢ちゃんを逃がすことを遂行したい。



豪華なドレスは
着たのも脱ぐのも初めてなのだろう

かなり苦戦をしている彼女が
俺のガウンに包まれるのに殆ど時間を要さなかったのは
俺の功績だ。



これでも、宮廷画家、意外とモテるんで
ドレスを脱がせるのもお手のものなんですよ

……なーんてね。





「ありがとうございます」

「いえいえ」



恥ずかしいのか目を合わせないお嬢ちゃん。


裸婦画も描く俺にとっては
半裸の少女なんて何とも思わないんだけど


かわいい。

何かからかいたくなっちゃうなぁ。



「気をつけてお帰り、レディ」


手を取り、指先にキスをすれば
また顔を赤くする。


うん、やっぱかわいーわ。

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