３４ U ページ34
目立たないようにやり過ごすつもりだったのに
私が入れ替わった"エリーゼ姫"は
相当な有名人なのか
エリー様という男性は
挨拶をするだけで済まず、ダンスフロアへと私を連れ出した。
踊れない私が転ばないように
リードしてくれるエリー様はすごいという驚きと共に
私の耳に届いたとある御方の御名前は
私を更に動揺の沼へと引きずり込む。
オミ王子、ですって？
あの日
街への凱旋で見かけた
我が国の美しい王子さま。
あの方のために
私はほとんど日課のように
"唯一無二の青"を研究してきた。
それがきっかけでどうこうなんて考えていない。
ただ、あの方にふさわしい青を作り
出来ることならばそれを身に纏う姿を
遠くからでも見ることができれば、と
それだけの願いだったのに。
そのオミ王子が
ここにいらっしゃるというの！？
勿論、"私"に会いに来るのではない。
会いに来るのはあくまでも"エリーゼ姫"
そんなことは百も承知なんだけれど。
とにかくそれまでに逃げなきゃ。
あんな美しい方を目の前にして
私が"エリーゼ姫"でいられる余裕なんて
あるわけがないんだから。
「オミ、王子は……」
「ん？」
「いつごろ、いらっしゃるのですか？」
そう問いかけると
エリー様は
僅かに表情を曇らせた。
その理由を考える間もなく
近付くエリー様の顔。
「やばい、ちょっと妬いちゃった」
「え？」
「今踊ってるのは俺だから
オミのことは今は考えちゃだめだよ、姫？」
にこっと笑う顔に
独占欲をみせるような台詞。
多分、ご冗談なんだろうけど
こういうやり取りに慣れていない私は
どぎまぎして何も言えなくなる。
「可愛い。ずっと踊ってたいな、このまま」
この言葉は
"私"じゃなくて
"エリーゼ姫"に向けられた言葉。
そう何度も頭の中で言い聞かせても
優しいエリー様の視線と
言葉と
彼の纏ういい香りに
私はやっぱりドキドキが止まらなかった
そのとき
向こうで聞こえたざわめき。
空気が、変わる音がした気がした。
隣のエリー様が
「来たか」と呟き
私の胸は大きく跳ね上がる。
「オミさま！！」
向こうで声がする。
見てはいけない。
何故か咄嗟にそう思って顔を伏せていたのに
エリー様の肩越しに
一瞬見つけてしまったお姿。
ウェーブのかかった黒髪が艶っぽい。
端正な横顔
それは憧れのその方で
だけど
その方は"緋色"を身に纏っていた。
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花恋(プロフ) - 更新再開お待ちしてます！ (2020年7月24日 2時) (
レス) id: 2b0127518b (このIDを非表示/違反報告)
amiryu(プロフ) - NEEさん やっと隆二さんの登場ですね〜 これからの展開が楽しみです！！ (2018年11月15日 17時) (レス) id: 536b1e31eb (このIDを非表示/違反報告)
ぷにぷに(プロフ) - 新作待ってました！初めまして！ぷにぷにです！私は健ちゃん推しなので、早く健ちゃんに見つけて欲しいと願いながら読んでます！もぉ続きが楽しみです^ ^更新楽しみに待ってます！ (2018年6月1日 8時) (レス) id: 60df6d6892 (このIDを非表示/違反報告)
ぐら(プロフ) - NEEさんのお話だいすきです (2018年2月9日 1時) (レス) id: 07d3f7974d (このIDを非表示/違反報告)
ぽちこ(プロフ) - 新作、ありがとうございます！王子が２人。。。これからの展開が楽しみです(●´ω`●) (2018年1月30日 21時) (レス) id: 83b994670a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NEE
| 作成日時：2018年1月28日 12時
