３２ U ページ32
私は今日、何度異世界を経験すればいいのだろう。
宮廷に足を踏み入れることが生まれて初めての私が
豪華絢爛なドレスを着て
貴族や王族の人たちの注目を浴びるなんて
もうこれは夢だと思う他ない。
大広間に誘導され
意味もわからずそこへ足を踏み入れた私は
ひどく後悔した。
あの時、どうして暴れてでも
ドレスの交換なんていやだと言わなかったのだろう。
でもここまで来てしまっては後の祭り。
偽物と分かれば
あのお姫さまはさておき
ケンジローさんとガンさんに何かしらのお咎めがあることは
世間知らずの私にだって想像はつく。
とにかく何とか理由をつけて
本物のエリーゼのいるあの部屋へ早く戻らなくちゃ。
「まぁ、あれがエリーゼ姫」
「噂に違わずお美しい」
お美しい？私が？
そんなわけないわ。
私は偽物なんだし
きっとこの豪華なドレスでそう見えているだけに違いない。
あぁ、それにしても動きにくいな。
あのケンジローさんに着せられたドレスも
裾が長くて大変だと思ったけど
このドレスなんて
更に上半身は窮屈だし
パニエ？なんて動きにくいったらない。
とにかく目立たない所へ行って
何かの隙に逃げよう。
周りから向けられる挨拶に会釈で返しながら
私は広間の奥の隅へと急いだ。
どうか誰も構わないで。
そのとき
扉が開いて
一人の男性が入ってきた。
浅黄色の異国情緒溢れるお召し物
装飾がたくさん施されたその装いは
これまた異国の顔立ちによく似合っていた。
男性が周囲に笑顔を振り撒くと
わっと色めき立つ声が上がった。
「エリーさま！！」
「こんばんわ！ごきげんようー！」
エリーさまっていう人なんだ。
どこかの国の貴族か、王子さまか。
あの派手な格好には一瞬ぎょっとしたけど
気さくそうだし
周りの人の反応からしてもいい人みたいだ。
とにかく私に向けられていた視線を
一瞬で全て奪いさってくれたのはありがたい。
そう思いながら
遠目から眺めていると
数人の女性と何事か話していたエリーさまが
こちらへと視線を向けた。
それは気のせいではなかった。
にやりと笑うと
まっすぐに、こちらへと向かってくるエリーさま。
そしてそれを見守る周囲。
待って
こっちに来られても困る……
「はじめまして、エリーゼ姫。
俺、エリーです。よろしく」
私の手をとり腰を屈めると
この方は私の手の甲にそっとキスをした。
……パニックだ、私。
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花恋(プロフ) - 更新再開お待ちしてます！ (2020年7月24日 2時) (
レス) id: 2b0127518b (このIDを非表示/違反報告)
amiryu(プロフ) - NEEさん やっと隆二さんの登場ですね〜 これからの展開が楽しみです！！ (2018年11月15日 17時) (レス) id: 536b1e31eb (このIDを非表示/違反報告)
ぷにぷに(プロフ) - 新作待ってました！初めまして！ぷにぷにです！私は健ちゃん推しなので、早く健ちゃんに見つけて欲しいと願いながら読んでます！もぉ続きが楽しみです^ ^更新楽しみに待ってます！ (2018年6月1日 8時) (レス) id: 60df6d6892 (このIDを非表示/違反報告)
ぐら(プロフ) - NEEさんのお話だいすきです (2018年2月9日 1時) (レス) id: 07d3f7974d (このIDを非表示/違反報告)
ぽちこ(プロフ) - 新作、ありがとうございます！王子が２人。。。これからの展開が楽しみです(●´ω`●) (2018年1月30日 21時) (レス) id: 83b994670a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NEE
| 作成日時：2018年1月28日 12時
