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4 王宮 ページ4

【王宮】


「お許しくださいませ、王子様」



王宮の渡り廊下

一人の侍女が顔を青くして身を固くしていた。



言葉は本心からのものではない。
だけど、侍女心得に則ってそう言うしかない。





若い新人侍女は幼き頃から
王宮で働くことを夢見ていた。

1度お目にかかったことのあるこの国の美しい王子の
少しでも近くで働きたい

そんな思いを持ち、侍女を志す女は多い。

そんななか
狭き門をやっと潜り抜けてやってきた王宮での
侍女としての心得はかなり厳しく

中でも特に念押しされた項目が
まさにその王子に関することだった。





"いつ、何時、どのような事情があろうとも
王子のお誘いを受け入れてはならない"





侍女心得を破ればクビ
運が悪ければ牢屋行き。




なのに

早速お目にかかることができた第一王子様は
渡り廊下でお辞儀をして通りすぎるのを待つ新人侍女の方へと近づき


至近距離で見つめ、言ったのだ。





「可愛いじゃん。……キスしていい?」






我が国の麗しき第一王子 オミは
女好きのプレイボーイで有名だった。















「オミ、まーたやってる」



顔を近付けられた侍女が
そろそろ失神してしまうのではないかというタイミングで現れた救世主は

隣国の第一王子、エリー。


異国情緒溢れる顔立ちの隣国の王子は
幼き頃からのこの国の第一王子の友人。

ふたりの父である国王同士もまた友人で
同盟を結んでいることに起因している。



「許してあげなよ。その子、下手したらクビでしょ」


エリーの言葉で、ようやく侍女を解放した王子の前から

ホッとしたような残念そうな表情で
仕事へと慌てて戻る侍女を見て
王子は悪い笑みを浮かべる。




「これくらいかわせないと、務まんないでしょ、ここは」



侍女心得の王子の項目が出来た原因は
他でもなく王子自身によるものだった。


そしてその心得を掻い潜り
密かに王子の寵愛を受けている女がいることも
エリーは知っている。




「まぁバレなきゃOKの世界になってるしね」

「東の遠い国では"オーオク"っていう国王が女選び放題のパラダイスがあるんでしょ。
俺だって俺が選んだ女と楽しいことしたいじゃん」



美しく凛々しく
強く賢く

次期国王としての資質を兼ね備えたこの王子は
その抑制された王宮生活で

女に関することだけは
国王と教育係の頭を悩ませていた。

5 王宮→←3 prologue



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花恋(プロフ) - 更新再開お待ちしてます! (2020年7月24日 2時) (レス) id: 2b0127518b (このIDを非表示/違反報告)
amiryu(プロフ) - NEEさん やっと隆二さんの登場ですね〜 これからの展開が楽しみです!! (2018年11月15日 17時) (レス) id: 536b1e31eb (このIDを非表示/違反報告)
ぷにぷに(プロフ) - 新作待ってました!初めまして!ぷにぷにです!私は健ちゃん推しなので、早く健ちゃんに見つけて欲しいと願いながら読んでます!もぉ続きが楽しみです^ ^更新楽しみに待ってます! (2018年6月1日 8時) (レス) id: 60df6d6892 (このIDを非表示/違反報告)
ぐら(プロフ) - NEEさんのお話だいすきです (2018年2月9日 1時) (レス) id: 07d3f7974d (このIDを非表示/違反報告)
ぽちこ(プロフ) - 新作、ありがとうございます!王子が2人。。。これからの展開が楽しみです(●´ω`●) (2018年1月30日 21時) (レス) id: 83b994670a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:NEE | 作成日時:2018年1月28日 12時

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