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28 隣国の姫 ページ28

「姫様、なりません!
いくらなんでもそのようなことは」



ダメだって言われたって
もう着ちゃったもの。

突然現れた女の子、Aが脱いだシンプルな侍女のドレス。
なかなか悪くないわね。
飾りが少なくて軽くて動きやすい。





「あの、エリーゼ、姫様?」

「うふ。A、素敵よ?私より似合ってるかも」



目の前には戸惑った顔のまま
私の天鵞絨のドレスを着て動けなくなってるA。


うん、本当にいいかんじ。
これなら、私の代理も務まる。





「A、そのまま舞踏会に出てきて」

「「は!?」」




うちの侍女とAの反応がリンクする。

うふふ、面白ーい。



「ひ、姫様、それはいけませんよ!
どこの誰だかわからない方に姫様の代わりなど」

「大丈夫よ、私の見る目は悪くないのよ?」



口を出すな
そう侍女に牽制して
私は不安そうにおどおどしているAへと近付いた。




「私ね本当に殿方が苦手なの。
信じられないかもしれないけど、男の方を目の前にすると固まってしまうの」



潤んだ瞳で私はAの手を取った。

でもね
これは本当のことなのよ。



「今日一日だけなの。何かあったら何とかする。お礼もする。
だから私になって、A」


「いや、それはちょっと……それに私マナーとか全然知らないし」

「大丈夫。
私は世間では人形みたいに静かで動かないって思われてるから、じっとしておけば大丈夫。
それにダンスなら男性がリードしてくれるから」

「ダンスとか、やったことないです」





やったことない?

侍女でも、最低限のものは教育されるんじゃないの?




そう思っていると、ふと、私の握る彼女の手に
違和感を覚えた。


なぜか、指先の色が、何て言うか
肌の色じゃなくどす黒い。


私の視線に気付き
Aは気まずそうに目をそらした。





「あなた、染物師なの!?」

その様子を見て侍女が声を上げる。



「染物師……って、なに?」

「姫様が知る必要もない、賎しい職業でございますよ!」




侍女の言葉に
Aは気まずそうに目を伏せた。




染物師……布を染める人なのかしら?

それにしても、賎しいって、なによ。
何かイヤな言い方ね。




「染物師?なの?」

「……はい」

「どんな色でも作れちゃうの?」

「……ある程度なら」



ずっと気まずそうなA。


どうして?


色が作れるなんて
すごく素敵なことだと思うのに。

29 U→←27 ケンジロー



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花恋(プロフ) - 更新再開お待ちしてます! (2020年7月24日 2時) (レス) id: 2b0127518b (このIDを非表示/違反報告)
amiryu(プロフ) - NEEさん やっと隆二さんの登場ですね〜 これからの展開が楽しみです!! (2018年11月15日 17時) (レス) id: 536b1e31eb (このIDを非表示/違反報告)
ぷにぷに(プロフ) - 新作待ってました!初めまして!ぷにぷにです!私は健ちゃん推しなので、早く健ちゃんに見つけて欲しいと願いながら読んでます!もぉ続きが楽しみです^ ^更新楽しみに待ってます! (2018年6月1日 8時) (レス) id: 60df6d6892 (このIDを非表示/違反報告)
ぐら(プロフ) - NEEさんのお話だいすきです (2018年2月9日 1時) (レス) id: 07d3f7974d (このIDを非表示/違反報告)
ぽちこ(プロフ) - 新作、ありがとうございます!王子が2人。。。これからの展開が楽しみです(●´ω`●) (2018年1月30日 21時) (レス) id: 83b994670a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:NEE | 作成日時:2018年1月28日 12時

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