43 ページ43
隆二とはずっと仲良くて
ずっと親友で飲み友達で愚痴友達で
恥ずかしいとことか情けないとことか
今までにいっぱい晒してきて
ある意味、一番家族に近い。
好きといえば好きだけど
今更恋愛対象としてなんてどうしたらいいかわかんないわよ。
大体、隆二には彼女がいるんだし。
噂には聞いてたけど
美人だった。
どちらかと男っぽい感じの
宝塚の男役みたいな感じの
そうだ、あんな顔だった。
カフェから出ようと伝票に手を伸ばして
視界に入ったのは
隆二の彼女に良く似た女。
というか
嘘みたいな話だけど
多分、本人だ。
噂をすればなんとやら。
オープンカフェの一つに
隆二の彼女が座っていた。
彼女も仕事の休憩中だろうか。
黒いパンツスーツの彼女は
仕事のパートナーか同僚らしきスーツの男と談笑している。
と、そのとき
ふと、彼女の手が親しげに男の腕に触れた。
何となく違和感を覚える。
それだけのことだと言われればそうなんだけど
何ていうか、男女の機微というか
そういう雰囲気を感じとることには長けている方だと自負している。
この二人、何となく
ただの同僚じゃない気がする。
…なんて、私がそうだからって
勘繰りすぎか。
もう、やめやめ。
考えたってだめだ。
あのイケメン恋愛マスター…
おみ？が言う通り
頭で考えたってどうしようもないんだもん。
恋心かどうか
気付いたら受け入れるくらいの覚悟をもって
いつも通り接するしかないんだ。
解決したわけじゃないのに
頭が少しすっきりしたのは
おみ？のおかげかもしれない。
とりあえず仕事に戻ろう。
エントランスにて
降りてきたエレベーターに乗り込む。
そのとき
「乗りまーす」
後ろから声がして
近付く足音。
エレベーターの中の女子社員の顔が
ぱっと華やぐ。
「すみません、6階、お願いします」
私と同じフロア。
聞き慣れた声の主は
私を見て、子犬のように微笑む。
「お疲れ様です」
そうだ、もう一人いたわ。
私の心を惑わせる小悪魔。
エレベーターのフロアボタンの前に三人。
奥に乗り込んだ私と、小悪魔、岩田。
『エレベーターではお静かに』の貼り紙に倣い
前を向いたまま上るのを待つ女子社員を目の前にして
私の右手に触れる
小悪魔の指先。
驚いて顔を見れば
『静かに』と唇を動かし
ぎゅっと絡む指。
あぁもう！
やめなさい！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2212人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
6ra6(プロフ) - この、お互いの腹の内を推測しながら進んでいく雰囲気がなんとも言えずもどかしい！NEEさん節炸裂してますね(*≧∀≦*)この感じ、大好きです♪引き続き更新楽しみにしています！ (2018年2月14日 13時) (
レス) id: d8c1da8865 (このIDを非表示/違反報告)
kt03(プロフ) - 直人さんとどうなるのかな？続きが気になります(^^)更新楽しみにしています♪ (2018年1月28日 15時) (レス) id: 4cf55a882c (このIDを非表示/違反報告)
1980no(プロフ) - もう皆の気持ちが主人公の方に向いてますね！一体誰とくっつくのか？今から楽しみです(^-^)/ (2017年12月2日 12時) (レス) id: fb6f76b200 (このIDを非表示/違反報告)
1980no(プロフ) - NEEさんおはようございます(^-^)/更新ありがとうございます♪隆二さん切ないですね､やっぱり好きだったんだ！元カレと友達と後輩､一体誰とくっ付けんだろー(気になります) (2017年11月20日 10時) (レス) id: fb6f76b200 (このIDを非表示/違反報告)
1980no(プロフ) - NEEさん更新ありがとうございますm(_ _)m岩ちゃん何処連れてっちゃうんだろう？続きが気になるNEEさーん(^o^)/ (2017年11月14日 0時) (レス) id: fb6f76b200 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：NEE
| 作成日時：2017年6月4日 22時
