Mr.PERFECT?

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あんなに、岩田くんにぐちゃぐちゃ愚痴っていたのが嘘みたい。



未練を自覚したばかりの私は
その張本人と早すぎる再会をし

そして彼女がいると言う事実を知りつつも
"結婚"の予定がないということで少し喜んでしまってる自分もいたりする。


本当ゲンキン……というか
ばれちゃったりしてるかもしれないよね。


それでも
直人さんとこうして過ごす時間は楽しいと
私の心は躍るばかりだ。



だけど直人さんは
どうして私を誘ったりしたんだろう。










「ごめんな、付き合ってもらって。
けど、久しぶりにゆっくり話せて楽しかったよ」



店を出てすぐにそう切り出した直人さんに
私はとにかく離れがたい気持ちを顔に出さないようにと
必死だった。




「私も楽しかったです」

「A」



何とか返した返答に
直人さんは私をじっと見つめ返した。


ドキリと心が鳴る。




「Aはさ、すぐ悩んで考え込むことがあるけど
何かあったらちゃんと、誰か頼りなよ」


「え……」


「恋愛以外のことなら、彼氏、に言ったらいいし
恋愛のことならさ、その」




そこで直人さんは言葉を止めた。

そしてふっと笑うと
直人さんの手がふわりと動いて

私は思わずそれを目で追う


その刹那。

視界から消えた手は
私の頭への重みへと変わった。




「恋愛のことなら、俺でも話、聞けるから」










「……っ！」


「家、近いの？」

「あ、歩いて１０ふんくらい……」

「そっか。じゃあこれでタクシー、乗りな」





私にチケットを渡すと
直人さんは私に背中を向けて行ってしまった。


私はと言えば
まだそこから動けないままで。




頭の重みが反芻される。

いま

いま直人さん

私のこと撫でて、言ったよね。

俺のこと頼っていいって
言ったよね？







「あぁ……もぉ……」






彼女いるくせに。

どうせなら
もうこれでサヨナラくらいに言ってくれた方が
諦めがついたのに。


話聞ける、なんて言って
連絡先も知らないのに。




他意はないに決まってる。
だからこそ罪深い直人さん。


私がまだあなたに未練があることなんて
知るよしもないんだろうし

私の恋愛の悩みと言えば今まさに
あなたのことなんだってこと
きっと思いもしていないんだろう。

そして私に脈がないことは変わらないのに。




馬鹿な私は
直人さんの優しい言葉を何度も思い出して
ドキドキしていた。





やっぱり私は何度でも
直人さんに恋をしてしまうらしい。

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