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「ここでいい?
ちょっと古いカフェバーだけど俺結構好きなんだよね」
駅から近いし、と付け加えて言った直人さんに誘導されて来たお店は
駅から歩いてすぐのところで
たしかにいい雰囲気のお店だった。
「はい、何か飲む?
って言っても、A、結構お酒入ってるみたいだからほどほどにな?」
そう言って笑う直人さんを見て
直人さんの呼ぶ"A"を聞いて
私は思わず胸がきゅうとなるのを感じた。
変わらない
今も直人さんは直人さんだ。
ただ唯一変わってしまったことは
彼は私の恋人ではない。
「それにしてもびっくりしたよ。
Aがまさか年下と付き合ってるなんて」
お酒が来て乾杯をして
開口一番直人さんが始めた話題は
私にとって一番困る"彼氏(嘘)の岩田くん"のことだった。
「そう、ですかね…」
「うん、何て言うか……ほら、Aって結構
しっかりしてそうで抜けてるとこあるし」
「そんなことないですぅー」
「いや?だってさ!あの二人でディズニー行った時なんて
Aチケットないないって騒いで鞄から出てきたとかあったじゃん!」
「いや、あれは直人さんがポケットに入れてたの見たって言うから!」
「いやいや、俺のせいじゃねーし!」
「直人さんのせいでしたー!」
……あれ?
なんかこの感じ。
懐かしくて
楽しくて
まるであの頃に戻ったみたい。
あぁ、だめだ。
私、もう帰らなきゃ。
じゃなきゃ私
また
直人さんのことが好きだって自覚して
直人さんのこと諦めきれなくなる。
「だからさ、Aには歳上が合うって思ってたから」
「……」
「あ!いや、別にお似合いじゃないって言ってるわけじゃないからな!」
黙り込んだ私を見て
慌てて直人さんが弁解する。
きっと私が口をつぐんだ理由と違う解釈をされたのだろうけれど
それの正解を言うことは、出来ない。
「それなら、直人さんの彼女さんこそ歳上の人ですか?
意外です……ってこともないか。
直人さんはどっちでもいけそうだから」
こんなふうに振りたくもない話題を振ったのは
早く話を変えたかった。
でないと私は
多分想いが抑えきれなくなる。
それならもう一度
歳上の直人さんが私の彼氏になってくださいと
口を滑らせては大変だから。
「彼女さん、綺麗な方ですよね!」
こんな話
したくなんかないのに。
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6ra6(プロフ) - この、お互いの腹の内を推測しながら進んでいく雰囲気がなんとも言えずもどかしい!NEEさん節炸裂してますね(*≧∀≦*)この感じ、大好きです♪引き続き更新楽しみにしています! (2018年2月14日 13時) (レス) id: d8c1da8865 (このIDを非表示/違反報告)
kt03(プロフ) - 直人さんとどうなるのかな?続きが気になります(^^)更新楽しみにしています♪ (2018年1月28日 15時) (レス) id: 4cf55a882c (このIDを非表示/違反報告)
1980no(プロフ) - もう皆の気持ちが主人公の方に向いてますね!一体誰とくっつくのか?今から楽しみです(^-^)/ (2017年12月2日 12時) (レス) id: fb6f76b200 (このIDを非表示/違反報告)
1980no(プロフ) - NEEさんおはようございます(^-^)/更新ありがとうございます♪隆二さん切ないですね、やっぱり好きだったんだ!元カレと友達と後輩、一体誰とくっ付けんだろー(気になります) (2017年11月20日 10時) (レス) id: fb6f76b200 (このIDを非表示/違反報告)
1980no(プロフ) - NEEさん更新ありがとうございますm(_ _)m岩ちゃん何処連れてっちゃうんだろう?続きが気になるNEEさーん(^o^)/ (2017年11月14日 0時) (レス) id: fb6f76b200 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:NEE | 作成日時:2017年6月4日 22時