Mr.PERFECT?

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「出ない…」


岩田くんと別れて
家に戻って着替えを済ませて

まだ整理のつかない頭の隅で
かけ直さなければいけない電話を思い出して

慌ててかけたその電話はつながらなかった。



絶対気づいてるよなぁ、隆二。
それに多分、心配かけてる。

それにしても

いつも私の心配をしてはくれるけれど
あんな電話は初めてのことだ。


勘がいいのか

それとも

どこかで見られてた、のか？


見られてたのなら
非常に気まずい。


というか
前反省したばかりの過ちを
舌の根も渇かないうちにこの有り様。



今度こそ
さすがの親友も呆れ果てるに違いない。





「本当、なにやってんだろ、私」



素面になればいくらでも反省出来るのに。
今度こそ正しく生きようと誓えるのに。


それでも私は
自分を甘やかすのが得意で
昨日のことは仕方がないと結論づけてしまう。

それもこれも

私が元カレに未練タラタラだったってことを
自覚してしまったからであって。




はぁ。

何で今更会うかな、それも２回も。

そしてそのことに今更ショックを受けてる自分も
本当にいやだ。


直人さんはもうすでに新しい恋愛をしているのに。


切り換えなきゃ。

じゃなきゃ
あの岩田くんのクラクラするような甘い言葉に
私はハマってしまいそうになる。



あんなの、その場限りの言葉に決まってる。


直人さんだって
岩田くんだって

ちゃんと相手がいるんだから。








「…出掛けよ。お腹すいた」


冷蔵庫には何もない。

とりあえず遅めのランチに出掛けて
隆二から電話の折り返しが来たら

今度こそ最後の懺悔をしよう。

ちゃんと呆れられて
二度としないと誓おう。



いつもなら着信に気付いたらすぐ
折り返してくれるだろうから。







家を出て駅前まで歩くと
私は近くのカフェへと入ることにした。



ちょうどオープンスペースしか空いてなくて
まぁそれでもいいやと私は空いた席へと座る。




まだ、来ないな、隆二。
携帯を見て、着信がないのを確認する。


もう、呆れられる覚悟は出来てるから
あとは隆二が気づいてくれるだけなんだけどな。




そう思いながら
ふと目を外へと向けると






「あれ、A？」



「りゅ……うじ？」





私の目の前には
まさに今電話を待っていた相手が目を丸くして立っていて




でも私が何より驚いたのは



ショートヘアで
背が高くてスタイルが良くて
モデルみたいな美人が

彼と腕を組んでいたからだった。

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