4 ページ4
翌日。
「澤木Aー！！」
「はい！」
意を決しての出社。
職場に着くなり
朝イチで私の名前を呼んだのは課長だった。
デスクに鞄を置いて課長の元へと向かいつつ
オフィスに目を配る。
見渡す限り、
まだ岩田くんの姿は見えなくて
何となく安心する。
「何でしょう？」
「出社早々悪いけど、急ぎでこの資料持ってきて？
他の奴等に聞いても場所わかんないみたいでさ」
取引先リスト。
書庫だな。
確かにあそこから書類を見つけるのはいささかややこしい。
「わかりました。書庫行ってきます」
「書庫な！多分量あるから、後で誰か荷物持ちそっちよこすから」
階段を降りてすぐのところにある書庫は
普段使わない書類が収納されている。
朝からあんな薄暗いカビ臭い部屋に行かされるのは
本来ならブルーになるとこだけど
何となく今日は助かった。
岩田くんと話すって決めたけれど
さすがに少し緊張してる自分もいることは否めない。
先延ばしにしても仕方ないんだけど
それはわかってるんだけど！
せっかく隆二に話して楽になった気持ちが
また少しだけ、ずんと重くなる。
とにかく！
早く書類探して
適当に岩田くんをひっつかまえて
何もなかった確認！！
そう心に誓い
書類を探し始めた頃
「失礼しまーす」
あぁ、そうだった。
課長、荷物持ちに誰か寄越すって言ってたっけ。
だけどまだ書類の準備出来てない…
「おはようございます、Aさん」
書類を探す私に届いたのは
低く優しいトーンの聞き慣れた声。
私のバカ。
考えればわかることじゃん。
課長が"荷物持ち"に選ぶなら
うちの部署で一番若い男の彼しかいないってこと。
「い、岩田くん！？」
「課長に行けって言われて。
あ、書類どこですか？運びます」
図らずして
やってきたチャンス。
だけど心の準備は出来ていない。
「えーと、ちょっと、待ってて、探すから」
「手伝います？」
「いや、大丈夫。すぐ見つかると思うから」
ああ、普通に喋れてる？私
とにかく先に仕事を済ませよう。
そのあと岩田くんと話を…
「Aさん、これじゃないですか、書類」
「へっ！？」
ぼんやりしていたら
いつの間にか近くにいた、彼。
手には私が探していた書類。
「あ、そうそう！！これ！」
「じゃ、先運んで来ますね」
そう言って行ってしまった彼。
せっかくのチャンスが！
てか普通すぎじゃない？！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2212人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
6ra6(プロフ) - この、お互いの腹の内を推測しながら進んでいく雰囲気がなんとも言えずもどかしい！NEEさん節炸裂してますね(*≧∀≦*)この感じ、大好きです♪引き続き更新楽しみにしています！ (2018年2月14日 13時) (
レス) id: d8c1da8865 (このIDを非表示/違反報告)
kt03(プロフ) - 直人さんとどうなるのかな？続きが気になります(^^)更新楽しみにしています♪ (2018年1月28日 15時) (レス) id: 4cf55a882c (このIDを非表示/違反報告)
1980no(プロフ) - もう皆の気持ちが主人公の方に向いてますね！一体誰とくっつくのか？今から楽しみです(^-^)/ (2017年12月2日 12時) (レス) id: fb6f76b200 (このIDを非表示/違反報告)
1980no(プロフ) - NEEさんおはようございます(^-^)/更新ありがとうございます♪隆二さん切ないですね､やっぱり好きだったんだ！元カレと友達と後輩､一体誰とくっ付けんだろー(気になります) (2017年11月20日 10時) (レス) id: fb6f76b200 (このIDを非表示/違反報告)
1980no(プロフ) - NEEさん更新ありがとうございますm(_ _)m岩ちゃん何処連れてっちゃうんだろう？続きが気になるNEEさーん(^o^)/ (2017年11月14日 0時) (レス) id: fb6f76b200 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：NEE
| 作成日時：2017年6月4日 22時
